きものダイアリー

雀右衛門襲名の最後を飾る巡業公演 奥さまの単衣~夏きものも拝見

2017.07.07

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Bettyokoのきもの日記 第32回

松竹大歌舞伎巡業中央コース「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」

6月30日より、繰り広げられる松竹大歌舞伎巡業中央コース。初日の大田区民ホール・アプリコと、二日目の府中の森芸術劇場に行ってきました。 




今回の巡業中央コースは、昨年3月の歌舞伎座から始まった五代目中村雀右衛門さんの襲名披露公演のファイナル。写真のようなトラックに大道具や衣裳を積み込み、各都市のホールを毎日のように移動しながら行われます。 

「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」は、大和時代の蘇我入鹿の政変を題材にした物語。 中村雀右衛門さん演じる杉酒屋の娘、お三輪は恋する求女を追って、恋敵の橘姫の御殿へと迷い込んでしまい、お姫様付きの官女たちにさんざんにいじめられます。 言うことをきけば求女に会わせてもらえると信じてお酌の稽古をしたり、歌を歌わされたお三輪は、宮殿の奥から婚礼を寿ぐ音が聞こえてくると、一転、悔しさと嫉妬の念を燃え上がらせます。 

そこに現れ、お三輪を刺したのは、中村吉右衛門さん演じる鱶七こと鉄輪五郎今国。 お三輪の愛する求女は実は藤原淡海であり、彼が敵の蘇我入鹿を倒すには「儀着の相」と呼ばれる嫉妬に狂った女の生き血が必要だったのです。 お三輪は自分が愛したのが高貴な人であった誉れを喜び、その役に立つなら…と未来で結ばれることを願いながら死んでいくのでした。 

さんざんいじめられた挙げ句に刺され、それでも愛した人の役に立つならと死ぬことを厭わないお三輪の心境は、現代の私たちにはとても納得がいかない部分もあるのですが、しょんぼりと打ちひしがれた姿から一転して嫉妬にみなぎる「儀着の相」へと変化するお芝居には、思わず鳥肌が立ちました。そして、その後の息も絶え絶えの独白を聞いていると、知らず知らずに感情移入してしまうから不思議。女方の大きな名跡を襲名されて公演を重ねてきた五代目中村雀右衛門さんのお芝居ならではの説得力と言えるでしょう。 
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