きものダイアリー

歌舞伎座に着て行ける浴衣スタイルを 八月納涼歌舞伎を観劇しつつ考察

2017.08.24

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Bettyokoのきもの日記 第35回

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」 第一部「団子売」

歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第一部を観てきました。




亡くなった中村勘三郎さん(当時五代目勘九郎さん)、坂東三津五郎さん(当時五代目八十助さん)が三十代半ばだった平成2年にスタートさせた八月の納涼歌舞伎。 当初は、若手が普段なかなか経験できない古典の大役に挑戦する場であり、初心者にもわかりやすい演目をというコンセプトでしたが、時代の中で出演者も次の世代へと変わり、演目も、歌舞伎ファン向けのセレクトに変わってきた気がします。 それでも、通常の昼の部、夜の部ではなく三部制にすることで夏休みに気軽に歌舞伎座を訪れることができるのは嬉しいですね。 

今年は三部を通して、江戸時代に作られた演目は六歳の中村勘太郎さんが一人で踊る「玉兎」だけ、それ以外はすべて明治以降に書かれた作品が並びました。まさに歌舞伎の“今”を体感できるラインナップと言えるでしょう。 



なかでも楽しみにしていたのは市川猿之助さん、中村勘九郎さんによる舞踊「団子売」。 当代きっての踊り手のお二人が夫婦役で踊る演目は、まさに今、同じ時代に生まれ合わせた幸福を実感できる素晴らしいものでした。 

二人で屋台をかついで花道をやってくる団子売の夫婦。杵造(勘九郎さん)の団扇には中村屋の、お福(猿之助さん)の団扇には沢瀉屋の紋があしらわれているのも粋で楽しく、期待が膨らみます。 舞台に登場した二人は杵と臼を取り出し、仲良く餅をつきます。 この小道具の餅が、まるで本物のようにフワフワ、プニャプニャして見えて、杵でついてはひっくり返す夫婦円満な共同作業は、観ていて微笑ましい気持ちに。 「臼と杵とは夫婦でござる」と清元の歌詞にあるように、ちょっと色っぽい男女の機微を描いた舞踊でもあるのですね。

後半の、ひよっとことおかめの面をつけての所作も楽しさ満点。とにかく猿之助さんと勘九郎さんのさす手ひく手の見事さ、息があっていながら個性のある踊りの素晴らしさは、表す言葉がありません。楽しくて目に心地よく、毎日観たい! ずっと観たい!と思わせる一幕でした。 
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