『チック』公演中に、作中に登場する不思議な少女を主人公にした戯曲『イザ ぼくの運命のひと／PICTURES OF YOUR TRUE LOVE』のリーディング公演も開催される。――好対照でまさに役柄にぴったりな、お２人。今回も瑞々しい演技が楽しみです。篠山：頑張ります。短パンに青いＴシャツ着た14歳の少年役なのに、初演から2年経って35歳になっちゃいましたし (笑)。
柄本：僕も今年で30代の中年ですよ。チラシのキャッチコピーが“あの少年たちの夏が帰ってくる！”なんですけど、“あのおっさん達の夏が”ですよね(笑)。
篠山：でも、そうやって大嘘がつけるのも、舞台ならではの面白さ。そもそもこのロードムービーみたいな作品をたった５人の出演者で舞台で見せること自体、嘘みたいな話だし。
柄本：いや、ほんとにそうですよ。なおかつ、僕にとって舞台は、お客さんという他人に見られることで、自分が大したことがない人間だと確認する場所。人前に立った瞬間に、ちょっとでもテンションが上がってしまう自分って、どうなのよ？とか、“人が見てるんだぜ、恥ずかしくないのか、お前”みたいなことを考えながらやってますからね。もちろん、アドレナリンが出るから楽しくはあるんですけど。
篠山：そうなんだ。僕はもう単純に、舞台は楽しい。お客さんがいて、俳優とスタッフさんがいて、みんなで一つの何かをやること自体が、温かい営みという感じがする。その分、真剣勝負だし、刺激も強いけど、やっぱりいいなって思うんですよね。しかも今回またやらせてもらうマイクは、お客さんに直接どんどん語りかける役。語りかける相手役が毎回変わるその不安な部分も含めて、楽しんでいけたらなと思ってます。
柄本：そう、そういう不安定なところがいいんですよね。今回は初めての再演なので、まず最初に、自分達がいろいろなことをどこまで楽しくできるかっていうところからできたらなと、僕も思ってます。
篠山：そもそも再演できるということは、初演がある程度評価されたということだと思うので、もっともっとたくさんの人に観てもらえたら嬉しいです。いい旅にするので、皆さんぜひ観にいらしてください！
柄本時生／Tokio Emoto 篠山輝信／Akinobu Shinoyama
柄本時生／Tokio Emoto
俳優
1989年、東京都出身。2003年に映画『すべり台』(2005年公開)の主演オーディションに合格し、デビュー。以降、映画、テレビドラマ、舞台などで活躍。出演する黒沢清監督の映画『旅のおわり世界のはじまり』が公開中。また『全裸監督』が8月8日よりNetflixで全世界独占配信の予定。
篠山輝信／Akinobu Shinoyama
俳優
1983年、東京都出身。2006年に大学を卒業したのを機に芸能界に入り、舞台、テレビドラマ、バラエティ番組、映画などで幅広く活躍。2010年春からNHK『あさいち』でリポーターを務めるほか、テレビ朝日系『ニッポン秘境旅 こんな田舎がアルか否か!?』などにレギュラー出演中。
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