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きらめく装飾とともに女性の「生」を描く『クリムト展 ウィーンと日本 1900』

2019.06.17

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女の三世代

Roma,Galleria Nazionale d’Arte Modernae Contemporanea.Su concessione delMinistero per i Beni e le Attività Culturali
《女の三世代》1905年油彩、カンヴァス
ローマ国立近代美術館蔵



《女の三世代》は171センチ角というクリムトの絵の中で最大サイズとされる作品。

眠る子をその手に抱く若い母。その横には手で顔をおおう老女の姿。健やかな子どもの寝顔とうら若き母の慈しみに満ちた表情、そして二人をとりまく可憐な装飾文様は美しく見る者を魅了する。

一方、立ちすくむ老女の姿に誰もが戸惑うだろう。クリムトはここに女性の一生を幼年期、青年期、老年期に分け寓意的に表している。

金・銀を用いた装飾文様も、若葉から枯葉色へとその生に呼応する。画家は萌ゆる命の輝きとともに避け難い老いと迫り来る死を克明に描き出す。

美しく洗練された絵の中に渦巻くように描かれる生々しい人間の感情。生まれ、輝き、やがて死にゆく宿命。

装飾的でありながらも生のリアリティに迫るクリムトの絵と向き合いながら、自分の中に湧き出る感情をしっかりと受け止めてみたい。

林 綾野(はやし あやの)
キュレーター。美術との新しい出会いを提案するため、画家の人生や食にまつわる研究を続けている。『画家の食卓』、『絵本でよむ画家のおはなし』シリーズなど著書多数。

『クリムト展 ウィーンと日本 1900』

ユディトI

(c)Belvedere,Vienna,Photo:Johannes Stoll
《ユディトI》1901年油彩、カンヴァス ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館蔵


装飾性と世紀末的な官能性を併せ持つ19世紀末ウィーンの画家グスタフ・クリムトの展覧会。自ら結成したウィーン分離派の展覧会のために制作した壁画《ベートーヴェン・フリーズ》の原寸大複製も圧巻。日本美術からの影響にも触れる。

東京都美術館 企画展示室
〜2019年7月10日まで
休館日:6/17、7/1
入館料:一般1600円
ハローダイヤル:03(5777)8600
豊田市美術館に巡回
公式URL:https://klimt2019.jp/
表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/白坂由里 撮影/川瀬一絵

「家庭画報」2019年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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