フィギュアスケート

国別対抗戦2017 男子スケーター、感涙もののプログラム5選

2017.05.17

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◆羽生結弦選手(日本)
FS/「Hope and Legacy」



羽生結弦選手は本当にドラマティックな星の下に生まれている、誰もがそう感じているのではないでしょうか。4月初めの世界選手権で3年ぶりに王座を奪還。その好調さを維持して、国別対抗戦では圧勝かと誰もが思っていたのが、SPではジャンプミスが続き、まさかの7位に沈みました。滑り続けてきたシーズンの最後、疲労も半端ではないはずです。世界のトップスケーターとしての重圧もあります。演技後の取材で、自分を責める様子を見て胸が痛くなりました。ストイックで自分を極限まで追い込む姿勢が自身の持つ世界最高得点を次々に塗り替えている原動力ではありますが、羽生選手もまだ22歳。「ここをピークに狙ってきたわけではないし、失敗したとしても大丈夫だから!」と祈る思いで見ていたFS。 


4回転ループを決め、幸先良い滑り出しでしたが、続く4回転サルコウが1回転になってしまいました。しかし、4回転サルコウ-3回転トウループ、4回転トウループ、4回転トウループ-1回転ループ-3回転サルコウと、3本の4回転を初めて後半に入れて成功。助走なしでも高く美しく跳び、加点のつくことが多い羽生選手のジャンプはもともと定評がありましたが、最近では表現面においても進化しています。今大会のFSでも技術点、演技構成点ともに評価され、ただ一人200点超えを叩き出して1位に躍り出ました。一晩でここまで立て直すのはどれだけ大変だったことでしょう。凹んだままで終わらせないところが羽生選手の強み、凄みであることを再認識させてくれた演技でした。羽生選手は本当に賢いスケーターです。限られた時間のなかで、次々に高い技術のエレメンツを披露しつつ、大きく軌道修正をして演じきることは、誰にでもできるわけではありません。 

平昌五輪が約9か月後に近づいてきた今、宇野選手やボーヤン・ジン選手、ネイサンなど、10代のスケーターたちが台頭してきていますが、国別選手権でFSを滑る羽生選手は、プログラムをコントロールし、完璧に場の空気を支配していました。思いがけないアクシデントに見舞われても、決めるべきときはいつも必ず結果を出してくる羽生選手。努力し続ける天才を、フィギュアの神様はきっと見守っていると思います。



未知の領域に向かい、トップスケーターたちがしのぎを削る男子フィギュア界のいま。 今回の国別対抗戦で特に心揺さぶられた男子の演技を幾つか挙げてみましたが、このほかにも多くの名パフォーマンスがありました。 最終日のエキシビションでは村上佳菜子選手が登場し、現役最後の演技を披露。彼女も観客を幸せな気持ちにしてくれる素敵なスケーターの1人です。 

日々精進してフィギュアスケートと向き合っているスケーターたちは誰もが魅力的。頑張っている選手全員をリスペクトしていますが、皆いつかは現役を離れるときがきます。 だからこそ、同時代に活躍している選手たちの演技をリアルタイムで見られる幸せを噛みしめて、これからも応援していきたいですね。 

小松庸子/Yoko Komatsu

フリー編集者・ライター
世界文化社在籍時は「家庭画報」副編集長としてフィギュアスケート特集を担当。 フリー転身後も「家庭画報」誌面にてライフワークとして大会やアイスショーなどを取材。
取材・文/小松庸子 撮影/吉成大輔
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