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川嶋朗先生に聞く。がんこな冷えの解消には、体内酵素の働きも重要

2019.05.17

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治る力  現代人は医療や薬に頼りすぎて、もともと備わっている自然治癒力が減退しているといわれます。“治る力”を活性化するにはどうしたらよいか、専門家にお答えいただきます。記事一覧はこちら>>
「がんこな冷えの解消には、体内酵素の働きも重要です」と話す川嶋朗先生。今回は、熱エネルギーの産生に不可欠な“酵素”のお話を中心に、冷えを解消する具体策を伺いました。

川嶋 朗(かわしま・あきら)先生

東京有明医療大学教授・医学博士
川嶋 朗(かわしま・あきら)先生


1983年北海道大学医学部卒業、同年東京女子医科大学第4内科入局、86~90年東京女子医科大学大学院医学研究科修了、93~95年ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院留学、2003年東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長などを経て、14年より現職、一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門でも診療を行う。著書に『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社)、『冷えとりの教科書』(マイナビ)、『逆に病気を呼び込んでいる44の健康法』(宝島社)など。東京有明医療大学 東京都江東区有明2–9–1 TEL:03(6703)7000

“冷えない体”をつくる(3)
体内酵素の活性化には37度近い体温が必要


この連載では、冷えや低体温を解消するポイントとして自律神経のバランスを整え、基礎代謝を高めることなどを述べてきました。

(1)川嶋朗先生に聞く、生涯の健康の鍵「冷えない体」のつくり方
(2)朝にジュース?その健康法は知らないうちに体を冷やしている

それらの働きを支える縁の下の力持ち、酵素の働きにも少し触れていますが、その重要性を考え、もう一度詳しく解説したいと思います。

現在わかっているだけでも2万個以上の種類があるといわれる酵素は、食べ物の消化・吸収にかかわる消化酵素と、呼吸、運動、思考、さらに自然治癒力などにもかかわり、生命活動を支える代謝酵素の二つに分類されます。それらが生き生きと働くためには37度近い体温が必要。

体が冷えた状態では脂質を分解する酵素の働きが衰えて肥満や脂質異常症になり、たんぱく質の合成酵素の働きが低下すれば筋肉をはじめとした体じゅうの組織をつくることができなくなって熱の産生にも支障をきたします。

ちなみに「高齢になると酵素が減るので玄米酵素を摂りましょう」などとうたっている酵素類のサプリメントはすべて発酵食品です。また、生野菜をたくさん摂れば酵素が補充できるという説は誤りで、代謝酵素は外からは摂れません。

もちろんサプリメントの酵素類も生野菜の酵素類も消化を助け、さらに分解されて体内のたんぱく質の原料となるアミノ酸の供給源になるので、食品としての意義は認められています。

また、医師が処方する酵素剤というお薬がありますが、これも消化を助ける効果しか期待できません。体内で酵素をつくるためには体を温める“冷え取り”を気長に続け、体温を37度近くに保たなければならないのです。

もう一つ大切なことは、酵素の主成分のたんぱく質の摂取量を増やすこと。確かに私たちの体内では加齢とともに酵素をつくる働きが衰え、熱の産生に役立つ筋肉量も減っていきます。

よく動くこととたんぱく質の摂取は、酵素の働きを高めて筋肉を養い、熱を産生する力を高めます。これらは冷えを解消し、健康を保つうえでも、とても大切な条件です。
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