ファッション

岡田 歩さんが生み出すシルクフラワーのコサージュ

2017.10.16

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造花工藝作家の岡田 歩さん。青山のSHOPにて。

心も装いも優雅に高揚する、岡田 歩さんのクチュール・フラワー


ファッションの新たなシーズンを迎えた今月。これから年末に向けては、パーティや会食など、華やかなお出かけの機会が目白押しに。そこでご紹介したいのが、造花工藝作家である岡田 歩さんが手がけるシルクフラワーのコサージュです。ワンピースやドレスはもちろん、秋冬はコートや帽子を彩るファッション小物としても活躍。まずは、岡田さんの創作活動と緻密な手仕事をご覧ください。


ジュエリーに匹敵する華やぎと存在感がある岡田さんのコサージュ



「どんなに精密に作り込んだ造花でも、生花に勝るものはありません……。だからこそ生花の代用品としてではなく、その花の一番魅力的な部分をデフォルメしてコサージュに作り上げることで、ファッションの一部として女性らしさを引き立ててくれるのです」。そう語る造花工藝作家・岡田 歩さんが生み出すシルクフラワーは、ニュアンスを湛えた独特の彩色と、ストライプや水玉といった手描きのテキスタイルを駆使した遊び心、雌しべや花粉などの花の生命力に迫ったディテールが見事に融合しています。それは、まるで空想の世界でたおやかに咲き誇る花のようです。


天性の手先の器用さが、豊かな感性を花開かせた


「昔から細かい作業に喜びを感じるタイプでした(笑)」と岡田さん。日本刺繍家の叔母様を筆頭に、幼少期より手工芸を嗜む環境に育ち、大学では染織を専攻。卒業後は、暮らしの中でいつも心を注いできた大好きな「花」をテーマに創作活動へと踏み出します。絵画とは異なる角度から花の姿を表現したいと、当初はニットを用いたフラワーコサージュを製作。

その後、絹という素材に漂う優雅さや軽やかさに心惹かれ、次第にシルクフラワーの世界に心酔していきます。羽二重やシルクオーガンジーなどのまっさらな絹地を、パターンに沿って裁断・染色、コテを当てて花びらに表情を生む成形に至るまでの工程を習得。約10年前にウエディングのヘッドドレスを手がけたことを機に、本格的に装うための花を手がけています。


こだわりの染織による美しい色と多彩なバリエーション


岡田さんのコサージュの魅力は、何と言ってもその色彩の美しさにあります。花びら一枚、雌しべ一本、その先端につけられた花粉の色合いに至るまですべてがオリジナル。「生花はそれだけで100%完成されていますが、装う花であるコサージュは女性が装ってこそ100%なのです。ファッションと同化する余白を想定した上で染色や手描き模様を施します」(岡田さん)。きっぱりとした単色なものは一つとして存在せず、小さなパーツにおいても「生きた色」が使われています。

アトリエに置かれている作品はそのまま購入することもできますが、オーダーメイドで誂えていただくこともできます。「たとえ同じ花でも、装うシーンや何をお召しになるかによって、サイズ感や微妙な色味まで細やかにお見立てします。その方のお顔をイメージしながら、肖像画を描くようにコサージュへと仕立てます」(岡田さん)。
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