2019年春 パリで行くべきアートスポットは？ コルビュジエほか「芸術家のアトリエ」が続々

ジャコメッティのアトリエを再現

次は、ル・コルビュジエと同じくスイス出身で、同じ時代にパリで活躍した彫刻家、アルベルト・ジャコメッティのアトリエのある、ジャコメッティ・インスティテュートです。昨年夏にオープンしました。

再現されたアトリエは、元々あった場所ではありませんが、同じモンパルナス界隈にあります。 入り口を入った横にあるガラス張りの小さなアトリエは、ジャコメッティと親交のあったロベール・ドワノーらの撮った写真を元に、細部まで忠実に再現されています。




再現されたジャコメッティのアトリエ。

デッサンや壁の落書きや、石膏作品や画材などにあふれた小さな空間まで一つひとつ見ていくことで、貧しくも精力的に活動し、制作に没頭し続けたジャコメッティの情熱を感じ取ることができます。

「歩く男」の制作過程等を展示

アトリエのディテール。

ジャコメッティといえば誰でも思い浮かべるものは、細長いシルエットの「歩く男」。石膏での制作過程のバージョンや、ジャコメッティの死後、夫人が大切に保存して来た数々の作品は、ジャコメッティ財団へと受け継がれてきました。

企画展も必見

アトリエの後は、ジャコメッティにちなんだ企画展も必見です。１階の奥から２階にかけて、企画展が催されています。



ジャコメッティ／リンドバーグ展の展示。　© Succession Alberto Giacometti (Fondation Giacometti, Paris + Adagp, Paris) 2019 © Peter Lindbergh © Stefan Raffo

3月24日までは、ファッションフォトグラファー、ピーター・リンドバーグとジャコメッティの作品が呼応し合うように展示されています。 また、リンドバーグが撮影したジャコメッティの彫刻の、動き出しそうな臨場感も圧倒的です。直接交流があったわけではない２人のアーティストの対話が聞こえるようです。



ジャコメッティとフローラ・マイヨ、フローラ作のジャコメッティの胸像と共に。　© Fondation Giacometti, Paris

4月5日からは、1920年代にジャコメッティの恋人だったフローラ・メイヨに焦点を当てた企画展が待っています。彫刻家であったフローラは、ほとんどジャコメッティの恋人としてしか名前が残っていませんでしたが、2017年のベネチア・ビエンナーレのスイス館で、彼女の足跡を追う企画が行われたのを元にした展示になるようです。

建物自体にも注目したい

また、このジャコメッティ・インスティテュートの入っている建物も注目です。

20世紀前半の装飾家、ポール・フォロのアトリエだった邸宅で、1913年に建てられたもの。アール・ヌーヴォーからアール・デコへの変遷の時代の感性がそこここにちりばめられ、美術館として再出発するために大々的に修復を施した、美しい建築です。鉄細工、モザイク、壁画など、見どころはいっぱいです。

すぐ近くには、カルティエ現代美術財団があり、時代を超えてアート散歩を続けるのにはぴったりです。



アール・デコのディテールとジャコメッティ作品。

Institut Giacometti

5, rue Victor-Schoelcher 75014 Paris
開館時間
14時〜18時（火曜）、
10時〜18時（水曜〜日曜）
休館日　月曜、祝祭日
入館料　8€50 （事前のインターネット予約が必要。空きがある場合のみ現地でチケットの購入も可。）
https://www.fondation-giacometti.fr/en/institute (英語)
https://www.fondation-giacometti.fr/fr/institut　（フランス語）

●3月24日までの企画展
「ALBERTO GIACOMETTI – PETER LINDBERGH SAISIR L’INVISIBLE」
（アルベルト・ジャコメッティ― ピーター・リンドバーグ　不可視を捉える）

●4月5日〜6月9日の企画展
「ALBERTO GIACOMETTI TERESA HUBBARD / ALEXANDER BIRCHLER : « FLORA »」
（アルベルト・ジャコメッティ　テレサ・フッバード / アレキサンダー・ビルヒラー　「フローラ」）