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川嶋朗先生に聞く、生涯の健康の鍵「冷えない体」のつくり方

2019.02.22

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治る力  現代人は医療や薬に頼りすぎて、もともと備わっている自然治癒力が減退しているといわれます。“治る力”を活性化するにはどうしたらよいか、専門家にお答えいただきます。記事一覧はこちら>>

“冷えない体”をつくる(1)
筋肉量を増やし基礎代謝を上げて、熱量を産生する


「病気の多くは医者や薬ではなく、自分の力が治す、それには温かい心身を保つことが第一」と話す川嶋 朗先生に、治る力を損なう“冷え”の実情や、頑固な冷えが招く不調の数々について伺います。

川嶋 朗(かわしま・あきら)先生


東京有明医療大学教授・医学博士
川嶋 朗(かわしま・あきら)先生

1983年北海道大学医学部卒業、同年東京女子医科大学第4内科入局、86~90年東京女子医科大学大学院医学研究科修了、93~95年ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院留学、2003年東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長などを経て、14年より現職、一般財団法人東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門でも診療を行う。著書に『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社)、『冷えとりの教科書』(マイナビ)、『逆に病気を呼び込んでいる44の健康法』(宝島社)など。東京有明医療大学 東京都江東区有明2–9–1 TEL:03(6703)7000

平熱は、36度9分前後が健康増進に理想的


ここ数十年の間に“冷え”に悩む女性の数が増えてきて、「冷えとり」の本が数多く出版される時代になりました。

私は以前から東洋医学的な診療を行っていますが、現代医学では触診にあたる、手で脈やおなか、背中、手足などに触れて診断する“切診”の際にも、体じゅうがひんやりと冷たい、低体温の女性がずいぶん多いなという印象を受けています。

実は、ほぼ60年前に行われた日本人の平均体温の調査によれば、36度9分+−3、4分の範囲にあたる人が全体の73パーセントもいました。

この数値は現代を生きる私たちにとっても、体のさまざまな機能が生き生きと働くために必要だと考えられます。

では、いつも足先が冷たいなど、常に冷えを感じているかたが、体温を37度前後に保つにはどうしたらいいか。まずは、体内で熱を生み出す力のほぼ7割を担っている基礎代謝を上げることが大切です。

体の器官の中で最も多く熱を産生しているのが筋肉です。基礎代謝と筋肉量は正比例の関係にあり、筋肉が増えれば代謝は自然に上がります。確かに体が冷えきっているかたの多くは、慢性的な運動不足に陥っており、代謝も筋肉量も低い傾向がみられます。

一方、冷えた状態を改善しないでいると、血流が悪化して、栄養や老廃物の運搬を滞らせます。そのために代謝が下がり、熱の産生や体温の維持に支障をきたします。

また、生命活動にかかわる大切な酵素の働きが悪くなり、免疫力が下がり、病気にかかりやすく、また治りにくくなります。

酵素が活性化する体温は成人で37~38度。体温が1度下がるとその働きが落ち、代謝も13パーセント低下し、免疫力も低下するともいわれます。

その結果、がんや認知症が発症する可能性が高くなり、気力や意識が衰退します。というのは冷えた状態が続くと心身が緊張し、焦りやマイナス思考に陥りやすくなるからです。

頑固な冷えはうつを誘う要因にもなります。がんやうつのかたの多くは、36度以下の低体温であることも、よく知られている事実です。
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