きものSalon編集部より

歌舞伎の現在、未来を捉えた貴重な記録 「二代目 中村吉右衛門」写真集&写真展 撮影秘話

2018.11.22

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鳥屋の中や舞台袖から撮影した
客席からは見ることのできない写真も


写真展では、『一谷嫩軍記 熊谷陣屋』の幕切れで僧形となった熊谷次郎直実が花道を去る場面を鳥屋の中から捉えた作品や、『勧進帳』の富樫左衛門と弁慶一行の緊張感に満ちた駆け引きを舞台袖から撮影したもの、舞台裏の拵え場で衣装替えの様子などを記録した写真も展示されています。


写真は今年6月に歌舞伎座で上演された『夏祭浪花鑑』で中村吉右衛門丈演じる団七九郎兵衛が、髪も髭も伸びきった姿から髪結床へと入り、すっきりと男前になって再登場するまでの、舞台裏での撮影風景です。


吉右衛門丈は「鍋島さんは必ず事前に一度芝居をご覧になって、どの場面をどう撮るか考えて撮ってくださる。客席の後方で舞台を撮っていたかと思えば、私が引っ込むタイミングに合わせて猛スピードで舞台裏や楽屋まで走ってきて拵え風景も逃すことなく撮影されており、マラソンで鍛えていらっしゃるとはいえ、これはスゴいことですね」と、語ります。

黒い布を背景にした当たり役の数々も鍋島さんならではの写真。舞台の合間に毎月、顔をして衣装や鬘をつけてスタジオで撮影しているのかと思いきや、実はこれらは、楽屋に大きな黒い幕を張り、ライティングをして撮っているのです。


写真は、この11月の歌舞伎座夜の部『楼門五三桐』の上演前の撮影風景。舞台に登場する白鷹も、しっかり撮影に“参加”していました。

鍋島さんによると「吉右衛門さんに黒幕の前で芝居の流れに沿って一通り演じていただくという贅沢な撮影になっています。楽屋が狭い巡業先のホールなどでは、廊下で撮ったり大道具さんが即席の撮影スペースを設営してくださったこともありました。小道具を持ち込んだり通常より早めに拵えをしていただくなど、お弟子さんや床山さん、衣裳さんの全面協力もあって記録を続けられています」。

さらに写真展の会場には、当代と初代吉右衛門の『平家女護島 俊寛』『梶原平三誉石切』『奥州安達原』の舞台写真をコラージュした「中村吉右衛門 初代/当代 三役屏風」の展示や、大型スクリーンでのスライド上映も。何度も足を運び、いつまでも滞在していたくなる、見応えのある写真展です。

「二代目 中村吉右衛門 写真展」
ミキモト銀座4丁目本店 7階 ミキモトホール
2018年12月9日(日)まで開催中
11時~19時 ※最終入場は18:45
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