きものダイアリー

中村隼人さんが語る、歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』

2018.11.01

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歌舞伎新世代がナビする「きもので観劇」其の十一

「どこでどうしたらお客様に喜んでいただけるか 考えながら役と、芝居と向き合いたい」




爽やかで端正な容姿と、芝居に向き合う誠実な姿勢で多くの観客の心を掴んでいる中村隼人さん。この夏には新作歌舞伎『NARUTO -ナルト-』で、坂東巳之助さんとともに、初の主演をつとめました。弱冠24歳にして新作歌舞伎の主演というのは、歌舞伎の歴史でも珍しいのでは?

隼人「古典でも新作でも、さまざまな先輩方とご一緒させていただいてきた中で、それぞれの座組の雰囲気というのは主役の方が作っていくものかと思っていました。でも実際、いざ自分がつとめてみると、いかに周囲の方々に助けていただくものかが良くわかりました。『NARUTO -ナルト-』には歌舞伎役者さんでない外部の俳優さんも参加されていたのですが“いい雰囲気の座組だね”とおっしゃっていただくことが多く、嬉しかったですね」。


スーパー歌舞伎『ワンピース』に続き『NARUTO -ナルト-』と、話題の新作で重要な役をつとめる機会が続きましたが、新作と古典歌舞伎では、役への向き合い方は異なるのでしょうか?

隼人「古典では、中村吉右衛門のおじさまのおっしゃる“まずは先輩の芸を見て真似なさい。自分の個性はその後、回を重ねるたび自然に出てくるものだから”という言葉が勉強させていただく上での基本だと思います。でも新作では、お手本になるもの、真似るものがありません。自分の引き出しから、試行錯誤して当てはめ、どうにかしなければいけない。そんな古典とは異なる責任感が必要だということを学べたのが、新作に携わって得たことかもしれません」。

新しい芝居を創造する過程では、市川猿之助さんから学んだことも多かったのではないでしょうか。

隼人「猿之助のお兄さんは、こちらから伺えばもちろんアドバイスしてくださいますが、役作りなど細かいことはご自分からはそんなに色々おっしゃらないんです。でも、芝居の精神性やお客様を考える姿勢については、ご一緒していて学ぶことが多かったですね。古典の歌舞伎作品は長い年月の中で、お客様が拍手したり大向こうをかけていただいたりするポイントまでが完成されていますが、新作を一から作りながら、どうやったらお客様が喜んでくださるか、どうやったらお客様が拍手したくなるかを考えていく作業はとても勉強になりました。お客様が喜ぶ……と言っても、媚びるのとはまた違うんです。ストーリーや役の気持ちをお客様にどう伝えるのか、当たり前かもしれませんが、常にお客様のことを考えながら、これからも演じていきたいと思います」。
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