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会津漆器文化の継承を、新たな形で試みる器

2017.10.19

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この器のかたちを作るのは木地師の荒井勝祐さんと石原晋さん。「水平」を担う荒井さんの繊細で鋭くゆがみのないラインは、30年以上にわたり手挽き一筋で技を磨いた、彼独特のセンスによるものです。

石原さんは会津伝統のロクロ挽きを駆使し、「日月」をふっくらとしたフォルムに作り上げました。塗師の冨樫孝男さんと吉田徹さんは塗りを担当。仕上げに塗られる漆は、「日本産の漆を絶やさない」と強い信念を持つ岩手県浄法寺の鈴木健司さんが搔いたものを直接仕入れます。


漆を搔く鈴木さん。一本の木からとれる漆はたった200g。写真/岡崎良一


生漆は2人の職人の手で「なやし」(攪拌)、水分を抜く「くろめ」の後、顔料が加えられ赤や黒の色漆になります。「水平」の潔い美しさは吉田さんが、「日月」の瑞々しい質感は冨樫さんが、それぞれ研鑽を積んだ技術で塗り上げます。


「水平」を塗る吉田さん。

視覚以外の感覚を研ぎ澄まして生きる女性のアイディアを、会津でも随一の漆職人が匠の技によって作り上げた賜物です。飯椀、汁椀、菜盛り椀が重なる三つ組。成長とともに使うお椀が増え、将来は次の世代へと受け継がれていく。使い手の人生に寄り添うことがこの器に込められた願いです。

売り上げの一部は会津の漆の植栽活動を行っている「NPO法人はるなか・漆部会」に寄付され、一組は漆1本の植栽分に相当します。漆が育つには10~15年の歳月が必要で、ゆくゆくは、寄付によって植栽された漆を「めぐる」の塗り直しに使うことを目指しています。

この作業は塗師のお弟子さんがたの訓練となり、その技が後継者へと受け継がれていきます。「めぐる」によって漆の木が増え、若手職人の仕事が増え、漆器文化が連綿と続いていく。会津に漆畑が甦るのは、案外近い将来のことかもしれません。


木地は国産の栃の木を使用。


漆を精製する様子。

 

Information

漆とロック

福島県会津若松市新横町4‐16‐201

  • ご注文は電話かHPから。 ※漆の適正供給を保つ生産量のため、種類によっては受注からお届けまで、数か月かかるものもあります。
『家庭画報』2017年11月号掲載
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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