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医師に聞いた「薬」増えるカラクリ、減らすコツ

2018.10.19

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薬を必要最低限に抑えるためのケーススタディー


イラストレーション/平松昭子

ケース(1)
「薬が効かない。よくならない」と医師に訴えたらさらに薬が増えてしまった


1週間前に風邪で受診したAさん(52歳)。発熱と喉の痛みと鼻水を止める薬と胃薬を処方され、指示どおりに飲みました。熱は下がり、喉の痛みも和らいだのですが、他の症状は代わり映えがせず、すっきりと治った気がしません。


再診時、医師に「どうですか?」と聞かれたので、「あまりよくなった印象がないのです。特に咳がひどくて」と現在のつらさを訴えると、あらたに咳止めが加わり、薬が5種類に。全体的には快方に向かっているのにどうして薬だけが増えたのだろうと納得がいきません。

【患者の心得】
漠然とした報告は薬を増やす。症状の変化を具体的に伝えよう


患者さんに漠然と「治らない。薬が効かない」といわれると、医師は本能的に薬の種類や量を増やそうとします。

「熱は下がりました。喉の痛みは半分くらいになりました。だるさは変わりません。咳はむしろひどくなりました」などと症状の変化とその程度を具体的に伝えると、医師は必要な薬に絞る判断をしやすくなります。

また、最初に出された薬が効かなかったからといって、すぐにクリニックを替えるのは得策ではありません。医師は薬のカードをいくつか持っていて「弱めの薬から出して様子を見る」という医師なりの作戦を実行していることが多いのです。

ケース(2)
「予防薬は飲みたくない。痛風になったときに考える」。上手に医師に伝えるには?


高尿酸血症と診断されたBさん(58歳)。好物のビールやレバーを控え、カロリーの摂りすぎに注意してきましたが、仕事のストレスや運動不足は思うように改善できず、尿酸値が8・5mg/dlをオーバー。医師から薬物療法を強くすすめられました。

痛みに強いことが自慢のBさんは頑固な薬嫌い。「予防のための薬は飲みたくない。痛風になっても死ぬわけじゃない。なったらそのときに考えるさ」と密かに腹をくくっています。

とはいえ主治医との良好な関係は壊したくなく、角が立たないようにどう伝えたらいいか悩んでいます。

【患者の心得】
「踏ん切りがつかない」といって先延ばしにするのも1つの方法


Bさんのように確固たる信念で「薬は飲みたくない。予防薬は必要ない」と考えるなら、医師も尊重し耳を傾けるべきです。

処方された薬を飲まないという行為は、医師の診療計画に水を差し、信頼関係を損ねかねず、かといって「薬は嫌だ」と好き嫌いを主張しても、医学的に必要と考えている医師との溝は埋まりません。

「私は痛風という病気がそれほど怖くない。なったときに対応を考えるので、今は薬を飲まずに数値の経過を見ていきたい」と論理的に伝える。

あるいは「踏ん切りがつかない」という表現で先延ばしにするのも、穏便に事を運ばせる手段の1つです。

ケース(3)
薬の種類が多すぎて、うんざり


以前から飲み続けている便秘薬、めまいの薬、貧血改善の鉄剤、抗アレルギー薬に、高脂血症と高血圧の薬が加わり、薬が6種類に増えてしまったCさん(55歳)。毎日、薬を見るたびにうんざりしています。

【患者の心得】
5種類を超えたら整理する


一度に飲む薬の目安は5種類まで(高齢者は7種類)。これ以上は明らかに多すぎます。長年飲んでいる薬を急にやめるのも心配なので、主治医に相談して、同じような作用の薬が3種類あれば2種類にするなど、少しずつ減らしていきましょう。

尾藤誠司(びとう・せいじ)先生

尾藤誠司(びとう・せいじ)先生

1965年、愛知県生まれ。
岐阜大学医学部卒業後、国立長崎中央病院、国立東京第二病院(現・東京医療センター)、国立佐渡療養所に勤務。
95年〜97年UCLAに留学し、臨床疫学を学び、医療と社会とのかかわりを研究。
総合内科医として東京医療センターでの診療、研修医の教育、医師・看護師の臨床研究の支援、診療の質の向上を目指す事業にかかわる。
著書に『「医師アタマ」との付き合い方』(中公新書ラクレ)、『医者の言うことは話半分でいい』(PHP)ほか。
お医者さまの取扱説明書
遠くの大病院より近くのクリニック患者が考える救急と医師にとっての救急の違いとは?初診・医師にはじめて会ったとき「どうしましたか?」にどう答えるか医師の「風邪ですね」に込められた本音「病名さがしの旅」という名の検査レール、本当にすべて必要なの?検査結果の数値に振り回されない患者の心得とは「隠れ病気」をどうとらえるか。“病気らしいもの”が見つかってしまったら医師が「大丈夫」というとき、いわないとき。医者の説明がちんぷんかんぷん、そのとき患者がすべきこと医師にいうのは要注意「治療法は(わからないので)お任せします」「薬」が増えるカラクリ、減らすコツ入院生活の不安・ストレスをできるかぎり減らすコツ家族が認知症。周囲と医師にできること医師はなぜ、代替療法をうさん臭いと思うのか親の“お迎え”が近づいたとき家族と医師で支える最終段階の過ごし方セルフケアと医療で対応する「具合の悪さ」セカンドオピニオンを誤解していませんか?できるだけ不安なく手術を受けるために、手術にまつわる確認事項エトセトラ「かかりつけ医」の役割と見つけ方親の介護に直面。医師に何を頼れるか?どこまでが介護で、どこからが医療かその“検索方法”は正しいか!? 信頼できる医療情報の求め方と生かし方医療は“役割分担”。共通の目標を持ち、各々のto-doを定める
取材・文/浅原須美 撮影/八田政玄 イラストレーション/平松昭子

「家庭画報」2018年11月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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