エンターテインメント

パリでも花開く坂口安吾×野田秀樹の世界。『贋作 桜の森の満開の下』

2018.09.19

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国内外の多種多様なアーティストの“文化混流”パフォーマンスを各地で展開する「東京キャラバン」の発案・監修も務めている。2019年2月16日・17日に秋田で開催するイベントには野田さんもアーティストとして参加予定。

 

――小説『桜の森の満開の下』と『夜長姫と耳男』をはじめ、様々な安吾作品のエッセンスが詰まった本作品。まさに“安吾の生まれ変わり”と公言してきた野田さんにしかつくれない舞台だなと感じます。


「“生まれ変わり”というのは、安吾の文庫本の解説を書いた時に思いついたことなんですよ。普通に書いてもつまらないし、安吾が死んだ年に自分が生まれたことは知っていたから、試しに調べてみたら、安吾が亡くなったのは自分が生まれる9か月前だった。それで、生まれ変わりだとこじつけた(笑)。もちろん、もともと安吾の作品はすごく好きで、だから解説も頼まれたんですけどね」

――安吾作品のどこに魅力を感じますか?


「気分で書いているところですね。すごく筆が走っているであろう時と、そうじゃない時があって、僭越ながらそういうところが自分と重なる。たとえば安吾は、同じ言葉をその時の気分で漢字で書いたり、カタカナで書いたりしているんだけれども、実は俺にも昔からその癖がある。しかも、そこに意味はない。気分で書いてますから(笑)」

――そういえば、本作品に出てくる「ヒダの国」も、漢字ではなく、カタカナで書かれています。


「それは、飛騨の騨の字を漢字で書くのが面倒だったからだと思う(笑)。当時はまだ台本を手書きしていたからね。でも時々、丁寧に書きたい気分になって、漢字でも書いているんじゃないかな。筆が走り出した時は手書きのほうが早いから、最近また手書きしてからパソコンに打ち込む方法に戻したんです。乗ってきた時は先のことがどんどん頭に浮かぶから、紙に書くほうが思いついたことをすぐさま端のほうに走り書きできていいんですよ」

――安吾作品のその他の魅力はどんなところでしょう?


「戦後の闇を描くような短編小説から歴史モノ、『不連続殺人事件』のようなクオリティの高い推理小説まで、幅広く書いているところ。中でもその“虚無の時代をいかに生き残るか”みたいな力強さに惹かれますね。おそらく並大抵じゃない戦中・戦後を生きてきたから書けるんだろうけど、京都の寺をつぶして駐車場をつくれとか、外国人が来て日本の伝統文化を褒めまくるのが気に入らない。俺達はそんなところで生きてないんだ、みたいなことを書いている。安吾は典型的なマザコンでもあったんですよ。『夜長姫と耳男』で最後に夜長姫が耳男に残す言葉は、きっと安吾が母親に言ってもらいたかった言葉だろうなと思ってます」
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