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今も買える! 東海道五十三次の旅人がこぞって土産にした、京の名品

2018.08.31

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随筆家 大村しげの記憶を辿って 私だけの京都へ 第18回「三條本家みすや針」

随筆家 大村しげの記憶を辿って かつて、京都の「おばんざい」を全国に広めたお一人、随筆家の大村しげさんをご存じでしょうか。彼女の生誕100年となる今年、書き残された足跡を訪ねて、生粋の京女が認めた京都の名店や名品をご紹介します。金曜更新。記事一覧はこちら>>
京都を旅するにあたり、京都ならではの場所や味に出会うために、私たちはなにを拠り所とすればよいのでしょうか。京都の情報を多数書き残した、随筆家・大村しげさんの記憶は、まさに京都を深く知るための確かな道しるべ。今回も彼女にまつわる名店を辿ります。

大村しげ大村しげ
1918年、京都の仕出し屋の娘として生まれる。1950年前後から文筆をはじめ、1964年に秋山十三子さん、平山千鶴さんとともに朝日新聞京都版にて京都の家庭料理や歳時記を紹介する連載「おばんざい」を開始。これをきっかけに、おばんざいが知れ渡り、大村しげさんも広く知られるようになる。以来、雑誌や著書で料理、歴史、工芸など、幅広く京都の文化について、独特の京ことばで書き残した。1990年代に車いす生活となったのを機にバリ島へ移住。1999年、バリ島で逝去。(写真提供/鈴木靖峯さん)

京の数え唄にも登場する針の名店


みすや針 京都


京都の街の道路は碁盤の目のようにわかりやすく整理されています。通りの順序を覚えやすいようにと、京都で定着しているのが通りの名前が順番に登場する、数え唄です。「姉、三、六角、蛸、錦(姉小路、三条、六角、蛸薬師、錦小路)……♪」。他の土地でも、そんなフレーズに聞き覚えのある方はいるのではないでしょうか?

そうした、数え唄の一つに東西に走る京の通りが順に登場する「一条(いっちょう)戻り橋 二条生薬屋 三条のみすや針 四条芝居 五条の橋弁慶に……」というものがあります。

今回、ご紹介する三條本家みすや針(以下、みすや針)は、この歌に登場する老舗中の老舗と言える針専門店です。大村しげさんは著書『京の手づくり』(講談社)のなかで、みすや針や裁縫にまつわる思い出、みすや針の針を作っていた職人の白井彦太郎さんの仕事ぶりを紹介しました。

みすや針 京都種類豊富な、みすや針の針。

「小学校五年生のときに、初めてお裁縫の時間があって、塗りの裁縫箱に、鋏やへらといっしょに、このみすや針も入れてもろうた」(『京の手づくり』)。このエピソードからも、京女にとって、みすや針が、いかに慣れ親しんだものであったかが伝わります。
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