専門家が分かりやすく説明する「ジュエリーの起源と歴史（古代～近世）」

王の誕生。王とジュエリー

社会に階級が生まれ、支配者として「王」が登場すると、彼らは自分の権威を示すために盛大にその身を飾ります。それは支配者自身のためというよりも、支配者が代理をする「神」を飾るためです。その点、古代王の装飾品とルネサンス期以降の王侯貴族が身につけた装飾品（ジュエリー）とでは、性格が異なるといえるでしょう。

キリスト教の誕生。教会とジュエリー

やがてキリスト教が登場し、いわゆる暗黒の中世が千年ほど続く間に、ジュエリーはキリスト教の荘厳を示すための道具となります。キリスト教会、特に昔のカトリックやその出先である中南米の国々に残る教会やキリスト像、聖者像などを飾る金銀宝石のおびただしさには驚くばかりです。




人々が教会を放り出し、人間らしさに価値を見出すルネサンス期を経て、西欧では16世紀頃からいわゆる王侯貴族社会が誕生します。これは20世紀初めの第一次世界大戦頃まで続きますが、ここで歴史上初めて「特定の人を飾るための道具」としてのジュエリーが登場するのです。