母のタンス、娘のセンス

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」〜葉月

2018.08.08

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無地感覚の紗のきものを帯で印象を七変化


一見するとグレーの無地のように見えますが、細やかな黒い縞柄が織り出された紗のきものを、母の箪笥から発見。「どんな帯も合わせやすそう!」とコーディネート魂がむくむくと(笑)。装いのシーンを想定して、いろいろな表情を作ってみました。

黒の麻地に波に千鳥を染め抜いた帯は、周囲の人の目にも涼やかに映る一本。一色采子のきもの連載ごく薄い青白磁色の帯揚げ+白に近い鈍色の帯締めで、色を控えたモノトーンのコーディネート。歌舞伎や昼膳の会食などに、ちょっぴり「おめかし」した印象で。

科布の帯は、変わり格子のようなカジュアル感が軽快。白蝶貝の犬の帯留めが愛犬リンゴにそっくりとあって、遊び心たっぷりのアクセントに。一色采子のきもの連載帯揚げは帯地に馴染ませて煉瓦色をチョイス。寄席や友人と甘味処を訪れるような、カジュアルで小粋な場面に。


絽綴れに漆黒の糸で蝶のシルエットを刺繍した洒脱な帯は、日本画の巨匠で父の師匠でもあった故・山口蓬春画伯の奥様の形見わけ。きもの通だった奥様がご自身でデザインされたものです。一色采子のきもの連載私も通った女子美の大先輩でもあり、余情が漂う構図に美意識の高さが漂います。踊りの発表会へ伺う装いにぴったり。

盛りを過ぎたひまわりは夏の終わりを告げる風情を感じ、立秋を過ぎた晩夏に活躍する一本。母と連れ立って訪れた銀座の伊勢由で、母が他界してから初めて求めたものです。帯締めも帯揚げも帯になじませて、ひまわりの白を際立たせて。赤いオブジェをあしらった帯締めは、10代の頃に私が母へプレゼントしたもの。母との様々な思い出を秘めて、私の手元に戻ってきました。和やかな女子会の時には、ちょっとセンチメンタルな装いで。

一色采子/Saiko Isshiki

女優
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
撮影/岡積千可 へアメイク・着付け/林さやか 構成・取材・文/樺澤貴子
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