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医者の説明がちんぷんかんぷん、そのとき患者がすべきこと

2018.08.17

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患者主体で話を進めるためのケーススタディー


イラストレーション/平松昭子

ケース(1)
がんと知ってパニック状態に。医師の話を冷静に聞いて、判断する自信がない


Aさん(60歳)は人間ドックで見つかったがんの精密検査を受け、ステージⅢAの胃がんと診断されました。進行がんであったことに大変なショックを受け、両親も胃がんで亡くしていることから、パニック状態に陥ってしまいました。


医師からは1週間後に治療法について詳しい説明をするといわれましたが、冷静に話を聞いて、判断をする自信がありません。とはいえ病状が進むことを考えると先延ばしにするのも心配。治療法を決める大事なときなので、どのように対応したらいいか迷っています。

【患者の心得】
家族か友人に同行してもらう。看護師のサポートを受ける方法も


まずは、1人ではなく信頼できる家族か友人と一緒に説明を聞くことをおすすめします。自分が落ち込んでパニックになっていることを主治医に正直に伝えるのは、むしろ主体的な行為だといえます。

「がん看護外来」など、決断を補助してくれる看護師のサポートを受けられる場合もあります。また、病気に対する理解が深まるようなパンフレットやビデオなどがあれば提供してもらうのもよいでしょう。

いずれにしても、治療法の決定までにどれくらいの時間の余裕があるかを確かめることが大事。そして急いでその場で決定せず、いったん持ち帰るのが賢明です。

ケース(2)
医師の説明が、長くて難しくてうんざり。最後まで我慢して聞くべきか


80代の母親が大腸がんと診断され、Bさん(55歳)は、治療法を決めるために母親と一緒に医師の説明を受けました。

医師はパソコンの画面を指しながら、CTスキャン検査の仕組み、内臓や動脈の話、大腸の構造などから丁寧に説明し始めました。10分ほど経って、やっと治療法の話に辿りついたかと思うと、今度は専門用語の連発で、2人ともほとんど理解することができませんでした。

難しくて不安でも、この話は必要なのだろうかと疑問に思っても、主治医の話は最後まで聞くのが礼儀なのでしょうか。

【患者の心得】
理解できない話が5分続いたら遮って方向転換してよい


医師なりに、患者さんに事実を正確に伝えようと一生懸命説明しているつもりなのですが、医師が伝えたいことと患者さんが知りたいことのずれが不安や疑問を生じさせるのでしょう。

そのような説明が5分続いたら危険信号。「ちょっと専門的すぎて私たちには理解するのが難しいのです。母が今どのような状態でどんな治療法が考えられるかを教えていただきたいのですが……」などと、自分たちが何を知りたいのかを伝え、医師の頭を方向転換させましょう。必要な情報を得るには、受け身でなく、自分から働きかけることも大事です。

ケース(3)
医師がリスクの話ばかりする


胃がんの手術について説明を受けたCさん(58歳)。主治医が、手術がうまくいかない可能性があります、再発するケースもあります、などよくない話ばかりをするので、気が重くなってしまいました。

【患者の心得】
医師の思考回路と思い受け止める


医師は万が一の事態を想定して、患者さんから「聞いていない」といわれないよう、利益よりも想定される不利益を多めに語る傾向にあります。あなたのケースが特に心配なわけではなく、医師の思考回路とはそういうものだと受け止めてください。

尾藤誠司(びとう・せいじ)先生

尾藤誠司先生

1965年、愛知県生まれ。
岐阜大学医学部卒業後、国立長崎中央病院、国立東京第二病院(現・東京医療センター)、国立佐渡療養所に勤務。
95年〜97年UCLAに留学し、臨床疫学を学び、医療と社会とのかかわりを研究。
総合内科医として東京医療センターでの診療、研修医の教育、医師・看護師の臨床研究の支援、診療の質の向上を目指す事業にかかわる。
著書に『「医師アタマ」との付き合い方』(中公新書ラクレ)、『医者の言うことは話半分でいい』(PHP)ほか。
お医者さまの取扱説明書
遠くの大病院より近くのクリニック患者が考える救急と医師にとっての救急の違いとは?初診・医師にはじめて会ったとき「どうしましたか?」にどう答えるか医師の「風邪ですね」に込められた本音「病名さがしの旅」という名の検査レール、本当にすべて必要なの?検査結果の数値に振り回されない患者の心得とは「隠れ病気」をどうとらえるか。“病気らしいもの”が見つかってしまったら医師が「大丈夫」というとき、いわないとき。医者の説明がちんぷんかんぷん、そのとき患者がすべきこと医師にいうのは要注意「治療法は(わからないので)お任せします」「薬」が増えるカラクリ、減らすコツ入院生活の不安・ストレスをできるかぎり減らすコツ家族が認知症。周囲と医師にできること医師はなぜ、代替療法をうさん臭いと思うのか親の“お迎え”が近づいたとき家族と医師で支える最終段階の過ごし方セルフケアと医療で対応する「具合の悪さ」セカンドオピニオンを誤解していませんか?できるだけ不安なく手術を受けるために、手術にまつわる確認事項エトセトラ「かかりつけ医」の役割と見つけ方親の介護に直面。医師に何を頼れるか?どこまでが介護で、どこからが医療かその“検索方法”は正しいか!? 信頼できる医療情報の求め方と生かし方医療は“役割分担”。共通の目標を持ち、各々のto-doを定める
取材・文/浅原須美 撮影/八田政玄 イラストレーション/平松昭子

「家庭画報」2018年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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