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「朝ドラは働く女子に優しい」。敏腕編集者が朝ドラの新しい見方を指南

2018.07.09

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『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』を上梓しした矢部万紀子さん。この著書を書くにあたり、朝ドラ11本、計約400時間分を見直したそうです。

――現在、放映中の『半分、青い。』はいかがですか。
「私が朝ドラに必要だと思っている2つのことがあります。1つは、主人公が自分の道を見つけて進んでいく姿が描かれていること。主人公の鈴愛(すずめ)が『漫画家になる』という夢を見つけて、その世界に邁進しています。漫画家という競争の激しい世界に進むことを反対する母に「お母ちゃん、漫画は競争の世界やない、夢の世界や」と鈴愛が言います。大好きなセリフです。もう1つが、戦争との向き合い方。私は朝ドラには、戦争を語り継いでいくという大切な役割があると思っています。『半分、青い。』に、こんなシーンがありました。ある日、鈴愛の弟と、祖父役の中村雅俊が2人きりで茶の間にいます。弟が小学生のとき、家族から戦争体験を聞くという宿題が出され、質問された中村雅俊が『おじいちゃんは、それは言えない』と応じるのです。中村雅俊がサザンオールスターズの『真夏の果実』を歌い、こういう歌が若い頃にあったらなあと言います。戦争というものの虚しさが中村雅俊という役者を通して伝わってきました」


――著書『朝ドラには働く女子の本音が詰まっている』では、評価の高くない作品も取り上げていましたが。
「ここ数年の朝ドラはほぼ確実に平均視聴率20%前後を維持していて、あれだけ話題になったドラマ『逃げ恥』の平均視聴率より高いんです。これはものすごい数字だと思います。そんな朝ドラに、朝ドラ好きの私が願うのは、『これだけの視聴率が取れると最初からわかっているせっかくの場なのだから、頑張ってほしい』ということです。世の中には、『こんなにいい作品なのに、なんで日の目を見ないのだろう』というドラマもたくさんあります。その点、朝ドラは視聴率20%が約束されているに等しい場になっています。逆に言うならば、脚本、俳優、プロデューサー……、あらゆる立場の人が自分の力量を知らせることができる場です。それにふさわしい力のこもったドラマを、これからも観たいと思っています」

矢部万紀子 Makiko Yabe

コラムニスト
1961年生まれ。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、『AERA』や経済部、『週刊朝日』などに所属。『週刊朝日』で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。『AERA』編集長代理、書籍編集部長を務めた後、2011年退社。シニア女性誌『いきいき(現『ハルメク』)』編集長に。2017年からフリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。
取材・文/宮本 柊 撮影/久保田彩子(本誌) 写真/PIXTA
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