母のタンス、娘のセンス

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」〜水無月

2018.06.21

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芭蕉模様の帯で涼やかな風を感じさせて


女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」

二本松市の観光スポットのひとつ「安達ヶ原ふるさと村」の中にある武家屋敷にて。

きっぱりとした白地が美しい琉球絣の単衣は、同居していたおばあちゃま(母のお母さん)が沖縄旅行に行った際に母へ買ってきた反物。旅先のお土産ですから、そんなに高価なものではないと思うのですが、娘を思うおばあちゃまの親心に私は今でもジーンとします。おばあちゃまから母へ、母から私へ、母娘三代にわたって受け継がれたこの一枚には、特別な想いが詰まっています。


女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」画面がはみ出る構図が、芭蕉の葉のダイナミックさを感じさせます。中央の葉脈に施された銀彩によって涼やかさもひとしお。

コーディネートした帯は、何度もブログに登場している紬屋吉平の浦沢月子さんデザインによる母の帯。浦沢先生の作品展で母は大層この帯を気に入って選んだのですが、仕立て上がってきた畳紙には「大山お嬢様」と書かれており、「私には派手だと思われたのかしら?」と笑いながら僻んでいたことが思い出されます。

武家屋敷の後に訪れたのは、地元の人の常のお酒として愛されている「千功成(せんこうなり)」の酒蔵である「檜物屋酒造店」。ラベルを飾る「純米酒」の文字は父によるもの。このお酒の瓶を見ると、なんだか父と再会したようで日本酒が好きだった父が楽しそうに飲んでいた姿や声が蘇ってきます。

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」

父がラベルを手がけた「千功成(せんこうなり)」の純米酒。

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」

一日の最後に訪れたのは、私のお気に入りの夕暮れスポットである「二本松城跡・天守台」です。

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」
「東京には空がない」と感じた智恵子が故郷の二本松に帰り、「あれが阿多多羅山、あの光るのが阿武隈川」と言った言葉を綴った高村光太郎の『智恵子抄』に思いを馳せ、智恵子も眺めた安達太良連峰の美しい稜線へ太陽が沈みきるまで眺めていました。

女優・一色采子の「母のタンス、娘のセンス」

父もこよなく愛していたこの山は、二本松市民にとっても心の山です。

 

【今回、一色采子さんが訪れた旅のスポット】
大山忠作美術館
福島県二本松市本町2-3-1(二本松市市民交流センター3階)
TEL:0243-24-1217
http://www.nihonmatsu-ed.jp/oyama/

智恵子の生家・智恵子記念館
福島県二本松市油井字漆原町36
TEL:0243-22-6151
http://www.city.nihonmatsu.lg.jp/page/page001066

国田屋醸造・蔵カフェ 千の花
福島県二本松市竹田2-30
TEL:0243-22-0108(国田屋醸造)
TEL:0243-24-7018(蔵カフェ 千の花)
http://kunitaya.jp

安達ヶ原ふるさと村
福島県二本松市安達ヶ原4-100
TEL:0243-22-7474
http://www.michinoeki-adachi.jp/furusato/

檜物屋酒造店
福島県二本松市松岡173
TEL:0243-23-0164
http://senkonari.com

二本松城跡
福島県二本松市郭内3-232-23
http://www.nihonmatsu-ed.jp/nihonmatsujyou/

 

一色采子/Saiko Isshiki

女優
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
撮影/岡積千可 へアメイク・着付け/林さやか 構成・取材/樺澤貴子
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