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元王族に嫁いだ日本人女性が語るウブドの暮らし

2018.07.23

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【バリ島発】いざ、五感を取り戻せる地 ウブドへ Vol.4(最終回)

海外旅行の目的地として人気の高いのが、インドネシア・バリ島です。前回に引き続き、今回もバリ島ウブドにある名門ホテル、ロイヤルピタマハの魅力を紹介します。

ロイヤルピタマハは、バリ島内陸の自然に恵まれたウブドに位置します。ホテルはウブドの王族の子孫によって運営されており、現地の伝統を感じながら上質なサービスを満喫できると人気です。

ウブドのプリアタン家に嫁いだ日本人女性


3回にわたり、ご説明してきたとおり、さまざまな魅力を持つロイヤルピタマハ。きめ細かなサービスの陰には一人の日本人女性の支えがありました。その方はマンデラ恵子さん。彼女は1988年にウブドの元王族に嫁ぎ、王族の子孫が運営するロイヤルピタマハのパブリック&ゲストリレーションズ コーディネイターとして活躍中です。現地のドレスをまとったマンデラさんは笑顔が印象的で、口調・立ち居振る舞いのエレガントな方でした。どうして、日本人女性がウブドの元王族のプリアタン家に嫁ぐことになったのでしょうか?


マンデラ恵子さんマンデラ恵子さん。ホテルの繊細なサービスに彼女のセンスが生かされています。

愛知県出身で、美術を学んでいたマンデラさんは「バリではなく、パリに憧れていました」と笑って話します。美術大学を卒業後、そのまま大学で働いていた彼女は、1984年に学長の依頼でジャワ島のボロブドゥール遺跡修復に同行することになりました。その彼女を見初めたのが、のちにご主人となるアナック・アグン・グデ・バグース・マンデラさんのお父さま。ぜひ息子のお嫁さんにと、猛烈なアプローチがあったそうです。最初はその気がなかったマンデラさんですが、ご主人の人柄や彼が継承するバリの伝統舞踊の魅力を知り、申し出を受け入れるほうへ気持ちが傾きます。

ご主人は、1926年に元王族が創設したプリアタン歌舞団(のちにティルタサリ歌舞団を結成)の団長を務め、伝統芸術であるバリ舞踊の継承に力を注いでいました。1931年のパリ万博では、プリアタン歌舞団による公演が行われています。バリの舞踊が国外で披露されたのは、このときが初めて。バリ島にはいくつもの歌舞団が存在しますが、このエピソードからも現在のティルタサリ歌舞団が特別な存在であることがわかります。

プリアタン家が運営するティルタサリ歌舞団。専用の劇場(Balerung Stage)もあり、毎週金曜日に公演されています。(画像提供/マンデラ恵子さん)

猛反対された結婚が許された理由は?


一方、マンデラさんの実家は厳格で古いしきたりを重んじるため、結婚までの道のりはスムーズではありませんでした。

「外国に嫁ぐなんて、とんでもないと猛反対されました。当時、一人で外に自由に出られないように車の免許をとらせてもらえなかったし、帰宅が遅くなったときは『女の子が一人で遅く帰ってはいけない』と、両親のどちらかが駅まで迎えにきていたほどですから」とマンデラさん。

マンデラ恵子さん日本人でありながら、王族のしきたりやバリ島の儀礼を熟知するマンデラさん。各地の儀式やお祭りにも参加しています。写真から装飾の大きさが伝わります。(画像提供/マンデラ恵子さん)

文通で愛を育み、ついにご主人が来日してご両親と対面。ご主人の日本文化を愛する気持ちや深い信仰心を理解したご両親から、ようやく結婚の許しが出たのです。1988年、1000人以上が参列する3日3晩続く盛大な結婚式が執り行われました。

マンデラ恵子さん

結婚当時のウブドの様子をマンデラさんに聞くと、当時は町の役所に電話が一台しかなかったとか。いまでは、すっかり観光地として発展したウブドにもそんな時代があったのです。現在(写真)は30年前まで電話が一台しかなかったとは思えないほど賑やかです。普段はオートバイがひっきりなしに走り、観光客で溢れています。
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