6月23日の夜公演後には、大倉さん、ブルー&スカイさんと共にアフタートークに登壇の予定。――もう一人の出演者、池谷のぶえさんも頼もしい存在ですね。
「抜群のコメディエンヌですよ。笑いにとって重要な演技力を持ちながら、それに酔うことなく、自分を冷たく突き放せるから、いちいちおかしい。真面目な顔して自己否定したり、全然そう思っていない顔をしながら、そう思っていると言い張ったり……人は、一方向では処理できない価値観を同時にいくつも与えられると、何が何だかわからなくなって笑うしかなくなるというのが、僕の笑いの理論なんだけれども、そういうことができる人。一方向的な芝居しかできないと、彼らがつくる複雑な笑いには追いつけなくなってしまうから、僕も頑張らないと」
――チラシに使われているイラストは、大倉さんが自分で描いたものだとか。
「初めて描いたらしいんだけど、よくこれだけのものが描けたよね。ものすごい気合を感じるので、それには応えたいなと思ってます。僕は年齢からすると、笑いのメインストリームが日本の喜劇人といわれる人達から、小劇場のほうに移ってきたあたりの世代。小劇場から出てきた大倉くん達は、僕から学びたいと言っているんだけど、自分としては、みんなに教えを乞う気持ちでやりたいし、その次の世代の人達に、こういう面白さがあるんだよとバトンタッチできたらいいですね」
――昔から笑いは好きだったんですか？
「好きでした。けど、色々観に行くようになったのは大学時代です。当時は小劇場ブームで、次から次へと劇団が旗揚げしていたし、一方で、アングラ映画やコメディ映画の新作もまだたくさんあった。だから、今も面白いやつがいると聞けば、年齢を問わず見に行きたくなる。笑いは自分にとって、忽せにできない分野、自分の柱の一つなんですよね。書くものにしても、ユーモアが時折きいたものを書きたいし、テレビで何かやる時も、やっぱりちょっとユーモアを入れるのが、自分のやり方だと思ってます」
文学、音楽、笑い、仏像、植物……と、守備範囲は本当に広い。ルポルタージュ『「国境なき医師団」を見に行く』も好評発売中。
