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がんになった医療者の治療選択と向き合い方。診療放射線技師 林 祐樹さん 第3回(後編)

2018.05.18

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抗がん剤の影響を心配したが、子どもを授かることができた


小児がんには、治療を受けたときの副作用や合併症のほかに、晩期合併症が起こる可能性があります。薬物療法(特に抗がん剤治療)や放射線療法の影響が数年あるいは数十年後に出てくることがあるのです。

そのために小児がんの再発や転移の発見という目的も含めて、長期フォローアップを受ける必要があります。

林さんも治療が終了した2003年以降、最初は3か月に一度、その後は半年に一度、主治医の家口さんの診察を受けています。現在は骨肉腫の再発は見られず、骨肉腫が転移しやすい肺にも異常がないことから、骨肉腫は完治したとみなされています。


林さんは、2017年、同い年の未奈さんと結婚しました。

林さんはつきあい始めてすぐに未奈さんに骨肉腫やその後の手術について話し、そして抗がん剤治療に伴う精子の減少や無精子症の可能性があることも伝えたといいます。

看護師である未奈さんは病気や治療をよく知っていて、林さんの状況を理解したうえで結婚を決めました。

「未奈に最初に話したとき、“治ってよかったなあ”と素直に喜んでくれたことがとてもうれしかった。どちらも子どもが好きだけれど、子どもができなければできないで2人で生活を楽しもうと話していました」(林さん)。

「妻が妊娠したとわかったとき、ほんとうにうれしくて、二人で泣きました」


そして、未奈さんがいったん退職して妊娠のタイミングを待つことを決めました。

「検査も受けて、やはり抗がん剤の影響で自然妊娠は厳しいだろうと婦人科医にいわれていましたが、未奈の勤務時間が一定ではないこともあって、後悔しないようにと考えました」と林さん。

そして未奈さんは仕事を辞める直前に自然妊娠、5月に出産予定です。「妊娠がわかったとき、うれしくて二人で泣きました」。

林さんの両親は、結婚前、未奈さんが挨拶に来たとき、子どもができないかもしれないけれど、それでもかまわないかと未奈さんに確認していたといいます。

それだけに未奈さんが妊娠したと聞いたとき、父の精治郎さんは「結婚もしてくれて、子どもも授かって、親として肩の荷が下りた気持ちになりました」と語ります。

現在でも小児がん経験者の妊孕性(にんようせい)の温存は大きな課題となっています。精子や卵子・卵巣組織の凍結保存、卵巣放射線照射時の卵巣の遮蔽や手術による移動などを受けられる場合があります(確立した治療ではなく、臨床試験として行われている処置もあります)。治療を受ける前に主治医に相談することが重要です。

林さんはこの春から仲間と核医学検査の勉強会を始めました。そして、「いずれは、がんの放射線療法にも携わってみたいですね」と抱負を話します。

「自分の夢の実現を支援してくれたメイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンで、今度は自分がボランティアとして、子どもたちを支えます」


週1回開かれる放射線技術科連絡会

【週1回開かれる放射線技術科連絡会】
放射線技術科では、週1回、連絡会が開催される。画像検査の設備や勤務に関する連絡が行われるほか、検査に関する症例検討や勉強会が開かれることもある。


2012年からは、高校生のときに大リーグ観戦という夢を叶えてくれたメイク・ア・ウィッシュ オブジャパンのボランティアとして難病の子どもたちの夢の実現を支援しています。

自身が骨肉腫を2度も経験し、何度も画像検査を受けたからこそ、患者の気持ちがわかる診療放射線技師として、ボランティアとして精一杯励んでいきたいという思いがあるという林さん。これからさらに忙しい日々がやってきます。
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