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「病名さがしの旅」という名の検査レール、本当にすべて必要なの?

2018.04.27

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検査の不満を解消するためのケーススタディー


イラストレーション/平松昭子

ケース(1)
「異常はありませんでした。よかったですね」といわれたが何が“よい”のかわからない


2週間前から鈍い腹痛が続いていたAさん(55歳)。病院の内科を受診した後、検査のために2日も費やして超音波とCT、さらにMRIの検査も受けました。結果を聞きに行くと医師が満面の笑みで、「何も異常はありませんでした。よかったですね。ご安心ください」というのです。


腹痛は相変わらず治っていません。原因がわからないままなのにいったい何がよかったのか、何を安心しろというのか、医師の真意がまったくわかりません。「よかったですね」に対してどう応えたらいいのか、Aさんは戸惑っています。

【患者の心得】
何に困っているか、どうしてほしいかを伝えよう


「放っておいたら大変なことになるような病気ではありませんでした」という意味の「よかった、安心してください」なのです。これに対して患者さんが「では何の病気でしょうか」「でもまだ痛いのですが」などと返してしまうと、医師は「もっと調べてほしいのか」と勘違いしかねません。

「怖い病気ではないのですね」と“理解”を表し、「ただ、腹痛が治らず日常生活にさしつかえています」と“苦痛”を訴え、「痛みを軽くする方法はないでしょうか」と“希望”を伝えるとよいでしょう。医師の思考回路が、検査ではなく症状に対応しようとする方向にスイッチされやすくなります。

ケース(2)
さらに詳しく調べたい、と検査入院をすすめられた。高齢なのでできれば避けたい


Bさん(85歳)は急にふらつきが激しくなり、病院を受診。ひととおりの検査を受けましたが原因は特定できませんでした。

後日受診した脳神経内科の医師が「精密検査のために2週間入院してください」といいます。症状は落ち着いており、この年齢での長期入院で筋力がさらに落ちることを心配したBさんは、「できれば検査は受けたくない。このまま様子をみたい」と拒否。最終的に説得をあきらめた医師は「無理にとはいいません。ここでの治療は終了ですね」と機嫌を損ねてしまいました。どう対応すればよかったのでしょうか。

【患者の心得】
検査で何かが見つかる確率がどれくらいあるか聞いてみる


医師も医師なりの必要性を考えて検査をすすめています。あからさまに「受けたくありません」と拒否すると関係がぎくしゃくしてしまうことになりかねません。

「その検査で何かが見つかる確率はどれくらいとお考えでしょうか」と聞くのも一つの方法です。怖い病気の可能性が高いので必要な検査なのか、安心を得るための確認の検査なのかによって患者さんの判断も違ってくるでしょう。

また、検査を受けなかった場合の対応について尋ねてみるのもよいですね。必要性を確認したうえで意思を伝え、検査を受けない選択をしても医師との関係を保てるのが理想です。

ケース(3)
病名がつかず不安でしかたがない


ひと月前からだるさと息切れがひどいCさん(54歳)。2つの病院を受診しましたが病名はつかず、症状も消えず、怖い病気ではないかと不安でしかたがありません。

【患者の心得】
病院巡りはせいぜい2か所まで


だるさや息切れの症状に特定の病名がつくケースは、半分以下だと思ったほうがよいでしょう。2か所の医療機関で病気が見つからなかったのなら、とりあえず怖い病気ではないと安心し、それ以上は病院巡りをせず、症状を改善する方法を探ることに切り替えたほうが賢明です。

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取材・文/浅原須美 撮影/八田政玄 イラストレーション/平松昭子

「家庭画報」2018年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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