エンターテインメント

寺島しのぶが海外への第一歩となる日米合作映画に主演

2018.04.05

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日本であれ、世界であれ、作品を選ぶスタンスは変わらない


寺島しのぶさん

「役者はみんな、いい演技をするためにもがいています」ーー寺島しのぶ

2017年のカンヌ国際映画祭では、日本人監督の作品として、10年ぶりに批評家週間に選出された本作。年齢も近い平栁監督に対して、寺島さんはこんなふうにエールを送る。


「テストから本番にかけて、役者がどこまでテンションを上げて演じられるか、自分の動物的な勘を信じて潔く判断できる監督は、これからハリウッドで活躍していくと思っています。カンヌのレッドカーペットでは、ジョシュの名前ばかり呼ばれていたので、お互いビッグになって、3人が同じくらい呼ばれるように頑張ろうって誓い合いました(笑)」

それぞれ子育てをしながら仕事をしていることも、寺島さんと平栁監督の共通点だ。

「ふたりとも、撮影に入れば夫に子どもを任せて仕事をせざるを得ません。子どもに寂しい思いをさせていることへの後ろめたさなど、お互い理解し合える部分は多いかもしれませんね。でも、家族があっての自分たちなので、そこをなおざりにするのはよそうとか、そんな話はしていました」

カンヌで映画が正式上映された2017年5月は、ちょうど長男の歌舞伎座初お目見得とも重なっていたため、寺島さんは1泊3日の強行スケジュールで映画祭に参加している。

「私自身、息子のことが心配でしたが、絶対に行きなさいと後押ししてくれたのが主人でした。彼は出会ったときから、“君の演技は世界に通用するんだから、早く世界に行ったほうがいい、日本ばかり見ていちゃだめだよ”といってくれて。彼のおかげで私の世界は広がりましたね。

海外には、憧れと同時に怖さもありましたけど、彼を通じて向こうに家族ができて、文化を知って、多くの監督や役者さんとも出会えました。つくり手の映画にかける思いは国を問うものではないし、役者はみんな、いい演技をするためにもがいています。日本であれ、海外であれ、作品を選ぶスタンスは変わらないし、求められた場所で輝けるように、自分自身を豊かな人間にしていきたいと、今はそう思っています」

ここ数年、受賞作品がアカデミー賞とかなり重なっているように、映画ファンの注目度の高いインディペンデント・スピリット賞。『オー・ルーシー!』は、その作品賞と主演女優賞にもノミネートされた。日本よりもひと足早く劇場公開されたフランスでも好評を博している本作への出演は、海外への第一歩になりました、と寺島さんはいう。

2018年4月は栗山民也氏演出の『ヘッダ・ガブラー』、6月には六本木トリコロールシアターの杮落とし公演『愛のゆくえ』と、上半期は舞台出演が続き、来年はパリでの公演も控えている。

「お客さんの反応を肌で感じ、生身の私を360度見てもらえることが舞台の魅力です。蜷川(幸雄)さんが渾身の力を込めてつくった『海辺のカフカ』の世界で、自分がどこまで挑戦できるか。演劇通のフランス人に私の演技がどこまで通用するか。これも大きなステップになると思っています」

寺島しのぶ/Shinobu Terashima

寺島しのぶ

1972年、京都府出身。2010年『キャタピラー』でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞。その演技力は国内外で評価されている。
2019年2月にパリのコリーヌ劇場で舞台『海辺のカフカ』に出演予定。
『オー・ルーシー!』©OH LUCY,LLC

『オー・ルーシー!』

監督・ 脚本/平栁敦子
出演/寺島しのぶ、南 果歩、忽那汐里、役所広司、ジョシュ・ハートネット
2017年 日本・アメリカ合作 95分
2018年4月28日(土)ユーロスペース、テアトル新宿ほかにてロードショー
「家庭画報」2018年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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