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祇王寺の苔庭を守る──日本の美を継承する尊さを千年の古都に学ぶ

2025.11.18

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〔特集〕誌上でゆっくり学ぶ・愛でる 京都の“別格” 京都では合わせて17の寺社が世界遺産に登録されていますが、平安遷都にあたり大きな意味を持った構成資産が2か所あります。桓武天皇が遷都の成功を祈願した京都最古の下鴨神社と新しい都を守るために作られ、平安京造営の起点となった東寺です。千年の都では、世界遺産以外にも名所・名刹は数しれず ── 深淵なる京都の別格を訪ね、日本の真髄(こころ)を学びます。前回の記事はこちら>>

特集「京都の別格」の記事一覧はこちら>>>

知られざる舞台裏
“京都の美を守る”人たち

人に深い感動を与える美しさを、陰で支え、守る人たちがいます。
未来の日本人の美意識のために ──
日本の美を次世代へ継承することの尊さを千年の古都に学びます。


日本独自の癒やしの庭
祇王寺[苔守の仕事]

朝、露を含んだ苔の、柔らかな緑に包まれた静寂の庭。「おかしな表現かもしれませんが、私はここのファン。いらっしゃる方は皆、庭に癒やされて元気をもらいます」というのは、奥嵯峨・祇王寺の住職、堤 大恵(たいけい)さんです。

堤 大恵住職(右)と、庭の手入れを行う職員の水口雅博さん(左)。「職員たちのおかげで、この美しい庭があります」と住職。

ここ祇王寺は、かつてあった往生院という寺の一部で、明治の初めに廃寺になったのを、当時の大覚寺門跡楠玉諦師と元京都府知事の北垣国道氏の尽力により、明治28(1895)年に祇王寺として再建されました。

「お二人もここの癒やしの力を知っていたからこそ、護りたいと思われたのでしょう。そうして末寺になったときから、大覚寺は祇王寺を大切にしてきました」。

苔庭

あたり一面、翡翠色に覆われた美しい庭園。苔の隆起は自然と形作られたもの。「手を入れすぎず自然に任せています」と水口さん。写真/人工知熊(ピクスタ)

美しい苔を守る役を担うのは、数名の職員たち。夏場は計3時間にも及ぶという朝夕の水遣り、落ち葉を手帚で集め、苔の間に生えた雑草を刈ります。

繁殖力があり見栄えを悪くする種類の苔は、ピンセットで一つずつ取り除く。堤住職も、苔庭の美しさは職員たちの愛情があってこそといいます。

「もともと自然には生きる力が備わっていますが、手をかけることによってさらに美しくなります。苔は自分で育つこともできるけれども、職員の『庭をきれいにしてあげたい』という気持ちに応えてさらに命を生かす。一味和合です」。

奥から、長帚、み、ピンセット、剪定鋏、草刈り鎌、手帚。使い慣れた6点が水口さんの仕事道具。


苔守の日々の手入れ

祇王寺の “苔守”、水口雅博さん曰く、苔の生育に影響するのは、水遣り・日光・雑草の3要素。「秘密は何もない」という言葉の一方、地道かつ膨大な作業からは、庭への愛情を感じずにはいられません。

(1)水遣りが要。朝夕合計3時間
季節により水の量は変わるが、乾きやすい夏場には、毎日6時と16時の2度、水遣りを行うという。まんべんなく撒くのに1時間半ほど。

(2)草刈りの鎌の刃先で除草
苔の間の雑草を、鎌の刃先で根本から除く。手入れ中、足裏の感覚で苔の状態がある程度わかるそう。「ふかふかに育つと嬉しいですね」。

(3)ピンセットでジャゴケを排除
蛇の鱗を並べたような見た目のジャゴケは、繁殖力が高く苔場の見た目に影響を与えるため、ピンセットで一つずつ丁寧に取り除く。

(4)竹帚は2種。掃除に始まり掃除に終わる
苔の上の落ち葉を2種の帚で優しく払う。細かなところは手帚で。紅葉の時季は、落ち葉をある程度残して “散モミジ” の景観を維持する。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年11月号

家庭画報 2025年11月号

撮影/本誌・坂本正行 取材・文/池嵜 愛

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