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小山薫堂さんと下鴨神社をたずね、日本文化の原点を知る

2025.11.06

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〔特集〕誌上でゆっくり学ぶ・愛でる 京都の“別格” 京都では合わせて17の寺社が世界遺産に登録されていますが、平安遷都にあたり大きな意味を持った構成資産が2か所あります。桓武天皇が遷都の成功を祈願した京都最古の下鴨神社と新しい都を守るために作られ、平安京造営の起点となった東寺です。千年の都では、世界遺産以外にも名所・名刹は数しれず ── 深淵なる京都の別格を訪ね、日本の真髄(こころ)を学びます。前回の記事はこちら>>

特集「京都の別格」の記事一覧はこちら>>>

21年ごとにあらたまり、受け継がれる
日本文化の原点

更新することを尊ぶ
「御生(みあれ)」思想

下鴨神社の御祭神は、西本殿に祀られる賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)と東本殿に祀られる玉依媛命(たまよりひめのみこと)の二柱。両本殿は同じ造りです。

国宝 本殿

〔通常非公開〕国宝 西本殿

通常非公開「浦の廻廊」より本殿を背後から参拝。賀茂建角身命は『古事記』や『日本書紀』に登場し、神武東征で八咫烏に化身し神武天皇を導いたと伝わる。

〔通常非公開〕国宝 東本殿

玉依媛命は賀茂建角身命の娘神で、上賀茂神社の祭神である賀茂別雷命の母神。安産と子育てに霊験があるとされる。

「当社では21年ごとに式年遷宮が行われますが、国宝の本殿をはじめ、社殿のほとんどが保存対象です。そのため、取り壊して新築するのではなく大修理を行い、御神宝などの新調や補修をします」と大塚さん。

「以前、神職に下鴨神社で一番美しい場所をお尋ねしたところ、“夜明けの朝日がさす本殿” とのお答えでした。私はまだ体験したことがありませんが、きれいな黄金を保つ破風装飾が朝日を受けて輝くさまを、ぜひ見てみたいですね」と小山さん。

東本殿の獅子。両本殿それぞれを黄金の獅子と白銀の狛犬が護る。

下鴨神社に伝承される「御生」思想は、新たな生命を生み出し、更新することで、常に清らかさを保つことを意味します。こうした思想により、神社は歴史的遺構ではなく、現代人にとって身近で大切な存在であり続けます。

最後に、小山さんがぜひ見てみたいという「大炊殿」へ。

「神様の食事である神饌(しんせん)を、誠心誠意を込めて作るという姿勢は、和食料理人の精神の原点ともいえます」

〔通常非公開〕神様の台所「大炊殿(おおいどの)」

明治時代初頭まで神饌が調進されていた場所。火を扱うため、屋根は神社には珍しく瓦葺き。

〔通常非公開〕神域「浦の廻廊」

古くから四方拝のためにあった廻廊で、2015年の第34回式年遷宮の際に復旧された。神域の鬱蒼とした森を歩き、本殿を真裏から参拝することができる。

神域の中にある本殿、大炊殿、本殿裏から参拝できる浦の廻廊は、不定期の特別公開時のみ拝観が可能です。

賀茂御祖(かもみおや)神社(下鴨神社)
京都市左京区下鴨泉川町59
TEL:075(781)0010
開門時間:[楼門内]6時30分~17時 [河合社]6時30分~16時30分 *神事等により変更の場合があります。

2025年10月25日~12月7日まで特別公開を実施。東本殿・西本殿を拝所から参拝、また三井神社・大炊殿・神服殿・神宮寺旧跡・賀茂資料館秀穂舎を見学できる。

小山薫堂さん(こやま・くんどう)

1964年熊本県生まれ。放送作家、脚本家。脚本を手がけた映画『おくりびと』で第81回米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞。2012年より下鴨茶寮主人、2017年より京都芸術大学副学長を務める。2014年より、京都の情報を紹介するWEBサイト「京都館」の館長を務めている。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年11月号

家庭画報 2025年11月号

撮影/本誌・坂本正行 取材・文/安藤菜穂子

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