〔特集〕誌上でゆっくり学ぶ・愛でる 京都の“別格” 京都では合わせて17の寺社が世界遺産に登録されていますが、平安遷都にあたり大きな意味を持った構成資産が2か所あります。桓武天皇が遷都の成功を祈願した京都最古の下鴨神社と新しい都を守るために作られ、平安京造営の起点となった東寺です。千年の都では、世界遺産以外にも名所・名刹は数しれず ── 深淵なる京都の別格を訪ね、日本の真髄(こころ)を学びます。
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千年の都の奥深さ
京都の古社寺で、日本の真髄(こころ)に触れる
東寺 ── 平安京最古の遺構
796年、平安京を護るため桓武天皇によって羅城門の東に創建された官寺、東寺。創建から27年後には、弘法大師空海に委ねられ、当時の最新の教えである密教の根本道場という役割も担います。約50幅の曼荼羅図を所蔵し、講堂内に立体曼荼羅を構成する同寺は、「曼荼羅の寺」とも呼ばれます。伽藍配置は、平安時代のまま。平安京の姿を唯一とどめる遺構で空海の教えを紐解きます。
桓武天皇がつくった平安京の官寺794年の平安遷都の2年後、796年に創建。桓武天皇は、平安京の正門として羅城門を構え、東に東寺、西に西寺を設けて都を守護しようと考えたとされる。現存するのは東寺のみ。境内には約200本のもみじが植えられ、秋には夜間の特別公開が実施される。写真/kazukiatuko(ピクスタ)
俳優 板垣李光人さん
東寺で曼荼羅の大宇宙を体感する
密教の根幹をなす曼荼羅思想を広めるため、空海は東寺においてさまざまな試みをしています。俳優業に加えて、アーティストとして制作活動も行う板垣李光人さんの目に、それらはどう映ったのでしょうか。三浦文良執事長の手引きにより、いざ、曼荼羅ワールドへ。
国宝五重塔 ── 初層内部

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通常非公開〕初層内部の「曼荼羅空間」日本一高い五重塔である東寺五重塔初層にて、板垣さん(右)と東寺執事長の三浦文良さん(左)。中央の心柱を大日如来に見立て、東に阿閦如来、南に宝生如来、西に阿弥陀如来、北に不空成就如来が配され、二体ずつ菩薩像を従えている。4本の柱には金剛界曼荼羅、壁にも8人の高僧(真言八祖)が描かれるなど、極彩色で埋め尽くされている。
真言宗総本山 東寺(教王護国寺)京都市南区九条町1
TEL:075(691)3325
開門時間:5時~17時(拝観は8時~)
2025年10月25日~12月14日の期間中、写真の五重塔初層が公開され、「曼荼羅空間」を実体験することができる。同期間中は、講堂の須弥壇北面も特別に公開され、「立体曼荼羅」を360度から拝観することが可能。「五重塔初層内部は、決して広くはない空間ですが宇宙的な広がりを感じました」── 板垣李光人
五重塔初層内部にて、壁画を眺める板垣李光人さん。
板垣李光人(いたがき・りひと)2002年生まれ。2012年俳優デビュー。2025年第48回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。NHK大河ドラマ『どうする家康』で井伊直政、『青天を衝け』で徳川昭武を演じた。2025年10月24日公開予定の映画『ミーツ・ザ・ワールド』ではアサヒ役を演じている。2024年、デジタルイラストと油彩を組み合わせたキャンバスアートを中心とした個展を開催。
(次回に続く。
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