知っておきたい女性のからだと健康 第11回(前編) 月経、妊娠や出産、更年期から高齢期への体調変化と、子宮や卵巣の健康は女性の一生に大きくかかわっています。また、患者数が増えている子宮体がんをはじめ、婦人科がんの予防や早期発見・早期治療も気になるところです。東京慈恵会医科大学産婦人科学講座主任教授の岡本愛光先生に子宮や卵巣の健康を保つためのポイントを教えていただきます。
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子宮と卵巣の健康
[お話を伺った方]
東京慈恵会医科大学
産婦人科学講座 主任教授
岡本愛光先生
おかもと・あいこう 1986年東京慈恵会医科大学卒業。国立がんセンター研究所研究員、米国国立がん研究所招待研究員等を経て母校の産婦人科学講座に帰任。2012年から現職。現在、日本産科婦人科学会常務理事、日本婦人科腫瘍学会理事長、婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG)理事長を務める。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍指導医。
ホルモン分泌の変化で子宮や卵巣も変わっていく
子宮は洋梨を逆さまにしたような形で、成人女性では鶏卵くらいの大きさです。子宮は“赤ちゃんのゆりかご”であり、妊娠していないときは、内側の膜(子宮内膜)がはがれて経血として体の外に出ます。
卵巣は親指の先くらいの大きさで、子宮の左右に一つずつあり、卵子を育てると同時に女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を分泌します。
子宮と卵巣の状態は、発育・発達や加齢、特に女性ホルモンの分泌の量や周期とともに変わっていきます。また、それに応じて出やすい症状や病気も変化します。
10代では月経の周期や経血量などが不安定なこともありますが、次第に整っていきます。30~40代では、子宮筋腫や子宮内膜症、月経前症候群など月経に関連する症状が出やすいのが特徴です。女性ホルモンの分泌量が減少する更年期を迎えると、ほてりや発汗、めまい、頭痛、うつやイライラといった多様な症状が出る人もいます。高齢期には、子宮脱のような骨盤臓器脱などがあらわれることがあります。「年代ごとに“起こりやすいこと”をあらかじめ知っておくと安心です」と岡本先生。
子宮と卵巣のがんとして最も多いのは子宮体がんで、50代が患者数のピークです。続く卵巣がんは閉経前後から60代、子宮頸がんでは30〜40代の患者が一番多くなっています。ただし、「いずれのがんも20代から70代、80代と幅広い年代で発症するため、注意が必要です」。
子宮や卵巣の病気の可能性がある症状のチェック
下記のような気になる症状がある、普段とはちょっと体調が違うという場合は早めに婦人科を受診しましょう。
●月経の周期が安定しない
●月経痛がひどい
●月経量が多くなっている
●月経ではないのに出血した、茶色いおりものがあった
●性交時に出血した
●性交痛がある
●月経に関係なく下腹部痛が続く
●腹部膨満感が続く
●急に体重が増えた、おなかまわりが急に太くなった
●急に体重が減った 月経や妊娠、子宮や卵巣の病気について知っておきたい
子宮や卵巣に関連する代表的な症状としては、上に挙げたようなものがあります。病気の詳しい説明や検査、治療法については、下記に掲載した婦人科関連学会のホームページが参考になります。
婦人科関連学会による婦人科の病気の解説
日本産科婦人科学会や日本婦人科腫瘍学会のホームページでは、婦人科の病気の症状や治療、婦人科検診などについて、簡潔でわかりやすい解説を掲載しています。
●日本産科婦人科学会
婦人科の病気●日本婦人科腫瘍学会
動画アニメで婦人科
がんのことを知ろう/患者さん向け動画アニメーション市民の皆さまへ 岡本先生は、このような発育・発達、加齢による体の変化、妊娠・出産や不妊症、子宮や卵巣などの病気について、「若いうちから正しい知識を身につけ、自分の心身や自覚症状の有無に常に関心を持つことが健康を守るうえで大切です。学校教育で、あるいは家庭でももっと学ぶ機会が増えればよいと考えています」と話します。
(後編)では、女性に比較的多い子宮内膜症と子宮筋腫について解説します。
(後半へ続く。)
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