〔連載〕二階堂ふみが体験して学ぶ 日本の美 その“奥”へ 俳優・二階堂ふみさんが日本文化の美の一歩奥まで踏み込み、その本質に触れて、読者の皆様とともに学ぶ人気連載。第7回は、二階堂さんも大好きだという江戸切子について。確かな技術と現代性で、全国の料理人からの注文が引きも切らない「堀口切子」の堀口 徹さんに案内役をお願いしました。
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第7回 堀口切子
江戸切子と料理の競演を堪能できる「御料理 盈月」の玄関にて。二階堂さんのきものは黒と茶の雪輪文様絞り。帯は江戸切子のテーマに合わせ「OKANO博多きもの制作所」の八寸名古屋帯 光彩切子シリーズより。帯留めは大正時代のアンティークガラス、バッグは大正から昭和初期のアンティーク。帯揚げと帯締めにターコイズブルーを配し、おはしょりを斜めに。明治時代に流行した髪型「束髪」がよくお似合い。帯以外すべて/石田節子呉服店
堀口切子 代表
三代 秀石 堀口 徹(ほりぐち・とおる)1976年東京都生まれ。二代 秀石(須田富雄、江東区無形文化財)に師事した後、三代 秀石を継承。「堀口切子」を創業し、日本の伝統工芸士に認定される。腕時計メーカーとのコラボレーションやホテルの照明、パッケージデザインの監修など、幅広い活動を展開。
ハレの場で特別に輝く江戸切子の粋と美
江戸切子といえば、繊細なカットにより放たれる輝きと、文様や色彩の美しさ。その魅力を教えてくれるのは、大正時代から江戸切子を手がける「堀口硝子」の3代目で、現在は独立し「堀口切子」の代表を務める三代秀石 堀口 徹さん。
「堀口切子」の器を愛用する日本料理店と「堀口切子」の工房を訪ねて、江戸切子の美の一歩奥へと足を踏み入れます。
「御料理 盈月」のカウンターにて。手もとの堀口切子のお猪口が静かに輝く。
「御料理 盈月(えいげつ)」は、かつて料亭が営まれていた築約50年の建物の1階に、昨年オープンしたばかりの日本料理店。切り盛りするのは、料理人の山岸右季さんと女将の村松彩葉子さん。お二人とも、堀口さんの切子をこよなく愛しています。
一方、「堀口切子」の工房は、明るく整理整頓された“ラボ”のような雰囲気。若い職人さんが黙々と作業しています。
「日常づかいから装飾品まで。江戸切子は幅広く自由です」── 堀口 徹
2人が着ているのは、「堀口切子」のオリジナル作業コート。職人はこれを着て作業する。堀口さんに弟子入りしている職人は、現在4名。いずれも意欲のある若手。工房内は整理整頓と掃除が徹底されている。
二階堂さん(以下、二階堂) 江戸切子は、見た目が宝石のように美しいのはもちろん、手に取ると、指がすっとはまるというか、しっくりとなじむ感じがしますね。
堀口さん(以下、堀口) カットされた部分に指がかかって安定すること、また、持ったときにちょうど収まりのよい重さということも考えて作っています。
「江戸切子には、使う人だけに見える万華鏡のような美しさがあります」──二階堂ふみ
堀口切子の器に盛られた料理を前に。
二階堂 グラスやお猪口は、中を覗き込むと、まるで万華鏡のようです。
堀口切子の「黒被万華様(くろぎせまんげよう)ロックグラス」。覗き込むと、吸い込まれそうな光の世界が広がっている。
堀口 これは、まさに万華鏡をイメージして作ったグラスです。
二階堂 手に取る人だけが見ることのできる美しさですね。お料理も、江戸切子の器でいただくと、より特別な印象になります。
堀口切子の籠目文様の器に盛られたのは「重陽籠影(ちょうようろうえい)」。丁寧に包丁を使って蕪を牡丹菊に仕立て、炊き上げたもの。「月光を映す江戸切子の籠に白菊が浮かぶようなイメージで、陰陽五行を意識して仕上げました。蕪で菊見を楽しんでいただければ」と山岸さん。「器の下に菊の葉を敷くことで、江戸切子の文様がより際立ちます」と村松さん。
それぞれ異なる色と形、文様のお猪口が合計25個。桐箱に収められた様子は、まるで宝石箱のよう。
御料理 盈月(えいげつ)東京都文京区本郷3-8-5
TEL:090(5517)0141
営業時間:11時30分~15時(最終入店13時)、17時~22時30分(最終入店20時)
不定休 要予約