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慢性炎症、自律神経失調、免疫の暴走──コロナ後遺症のトラブルを解決。岩島信吾先生(岩島鍼灸院)

2025.09.17

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新世代の鍼灸師に訊く 第22回(前編)鍼灸院は「未病を予防する」ことから「病気を改善する」ことまで守備範囲が広く、身近な健康アドバイザーとしてもっと活用したい医療施設の一つです。前回の記事はこちら>>

更年期から起こりやすいトラブルの予防法・解決法「コロナ(ワクチン)後遺症」

岩島信吾先生(岩島鍼灸院)

岩島鍼灸院 院長 岩島信吾(いわしま・しんご)先生 1978年、東京都生まれ。母の難病をきっかけに東洋医学の可能性に希望を見出す。大学卒業後、日本鍼灸理療専門学校に入学。鍼灸師の資格取得後は、臨床経験を積みながら多くの文献を参考に治療法を模索。「長野式治療」に深く共鳴し、正規講師として10年間、後進を育成。現在は「三焦会」を立ち上げ、経験と理論を融合させた独自の診療に取り組む。

岩島鍼灸院 院長 岩島信吾(いわしま・しんご)先生 1978年、東京都生まれ。母の難病をきっかけに東洋医学の可能性に希望を見出す。大学卒業後、日本鍼灸理療専門学校に入学。鍼灸師の資格取得後は、臨床経験を積みながら多くの文献を参考に治療法を模索。「長野式治療」に深く共鳴し、正規講師として10年間、後進を育成。現在は「三焦会」を立ち上げ、経験と理論を融合させた独自の診療に取り組む。

体質や体調を丁寧に見極め鍼灸とマッサージで人が本来持っている健康システムを修復する

「主訴を治したら何ができるようになりたいですか」──。岩島鍼灸院では、初診時の問診票で患者に生活目標を必ず尋ねます。“治せる鍼灸師”を目指して研鑽を積み、独自の治療スタイルを確立している院長の岩島信吾先生は、この質問の意図と治療の極意をこう明かします。

「症状を治すことが目的ではないのです。生活目標に治療の焦点を合わせることで、共同体としてともに治療に取り組めるようになり、患者さんの心が前向きに変わっていきます。すると、体も治りやすい状態へと向かっていくのです」。

それはコロナ後遺症やコロナワクチン後遺症に苦しむ患者も同じです。生活目標を見出し、自ら治療に参加することによって失われた健康と生活を徐々に取り戻していきます。

体質をよく見極めることで後遺症に根本からアプローチ

コロナ(ワクチン)後遺症に罹患すると体内では微小血栓、慢性炎症、自律神経失調、慢性上咽頭炎、腸内環境の乱れ、大量の抗体産生、サイトカインストーム(免疫の暴走)などさまざまな生体反応が起こるといわれます。それにより疲労感、微熱、動悸、めまい、頭痛、ブレインフォグといった多様な症状が現れます。「生体反応も出現する症状も、そして治療効果さえも個人差が大きいのがこの後遺症の特徴の一つです」。原因や機序は未だ研究中で不明なことが多いため、対症療法にとどまらざるを得ない西洋医学の限界があります。

※ブレインフォグとは頭の中に霧がかかったような感じになり、記憶障害や集中力低下などがみられること。

一方、東洋医学ではウイルスによって破壊された「健康システム(本来人が備えている自然治癒力、抗炎症作用、正常な免疫作用など)」を修復することに主眼を置いています。


「東洋医学では、生体反応や出現する症状は根っこにある体質(体内の乱れ)の影響を大きく受けていると考えられており、治療する際には、この体質の見極めが最も重要になります」。

岩島先生は、脈の状態、おなかと上腕の張りから体内にどのような乱れが起こっているのかを探ります。そして、体質と生体反応の関連を推測したうえで鍼を中心とした治療を施し、体を「平(へい)」と呼ばれる正常な状態に戻すことで、出現している症状を治めていきます。

気血の滞りがある体質にはマッサージが効果的。

気血の滞りがある体質にはマッサージが効果的。


「例えば、体質の一種である瘀血(おけつ)や気滞(きたい)では慢性上咽頭炎を起こしやすいです。鼻の奥にある上咽頭の炎症が続くと、その近くにある脳幹にも悪影響を及ぼし、自律神経やホルモンバランスが乱れ、めまいや頭痛、うつといった症状を引き起こすおそれがあります。そこで、瘀血や気滞を改善させる経穴(ツボ)を鍼で刺激し、平の状態に導くのです」

早期回復への第一歩となる日常のセルフケア指導も重視

後遺症患者には副腎疲労の兆候をとらえる「沈脈(ちんみゃく)」と呼ばれる脈の乱れもよくみられます。副腎疲労を起こすと体が回復に向けての号令をかけられず弱りきった状態から抜け出せないので、沈脈を手がかりに副腎疲労を改善する鍼治療から行うこともしばしばです。

復溜(ふくりゅう)(右)と兪府(ゆふ)(左)の経穴に鍼を留置し、副腎疲労を改善。

復溜(ふくりゅう)(右)と兪府(ゆふ)(左)の経穴に鍼を留置し、副腎疲労を改善。


さらに睡眠・食事(栄養状態)を日常的に整えることが早期回復への第一歩となるため、セルフケアの指導も重視しています。

「なかでも食事は誰でも取り組みやすいことから注力しています。胃腸の消化力が低下している場合は足三里へのセルフ灸を併用しながら、抗炎症作用を持つオメガ3脂肪酸やポリフェノールを豊富に含む食材や発酵食品を積極的にとってもらいます」。

副院長の亜衣子先生は国際薬膳茶師の資格を生かしオリジナル薬膳茶を監修。

副院長の亜衣子先生は国際薬膳茶師の資格を生かしオリジナル薬膳茶を監修。


東洋医学の治療効果にも個人差があり、人によって治り方は違います。岩島鍼灸院では、普段は寝たきりに近く、杖をついて来院していた50代女性が約1年間、鍼治療とマッサージ、セルフケアを続けることで旅行を楽しめるまでに体調が回復した例も。

「個人差が大きいからこそ、一人一人に丁寧に向き合い、根っこから治す東洋医学の可能性に希望を見出してほしいと思います」。

鍼灸院は緑に囲まれ心地よい。

鍼灸院は緑に囲まれ心地よい。

岩島鍼灸院

診療案内

千葉県松戸市松戸新田268-5
TEL:047(317)5380 完全予約制
予約電話受け付け 8時45分~9時15分
LINEでの予約可(詳細は鍼灸院HPへ)
診療時間/9時30分~18時30分(月曜・水曜・金曜21時まで、祝日15時まで)
休診日/第5火曜
診療費/初診料 2200円、オーダーメイド治療(40~60分)8000円 ほか
https://www.iwashima.land/

※後編へ続く。

連載「新世代の鍼灸師に訊く」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年10月号

家庭画報 2025年10月号

撮影/本誌・大見謝星斗 取材・文/渡辺千鶴

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