〔特集〕最新展示で命の躍動と不思議に出合う 大人が楽しい水族館・動物園 豊かな自然環境のもと、瑞々しい生命の息吹に触れられる水族館・動物園は、人生経験を重ねた大人が改めて学びや癒やしを得られるスポットとして今、注目を集めています。生き物が暮らす環境の再現や、アートのような演出など、非日常感を味わえる展示方法に魅力ある施設を中心に、全国から厳選してご案内します。
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“水中美術館” で マインドフルネス
はるか遠い昔、この地球に初めて宿った命の鼓動が聞こえてくるかのような水中の世界。近年は海や川の生き物たちの営みをアートに見立てた展示の水族館が増えています。自然環境を見事に再現した、美術館のような水族館を訪れて、非日常のひとときを過ごしながら、涼やかに心をリフレッシュしてみてはいかがでしょう。
・「アクアマリンふくしま」の生きものたちの写真をフォトギャラリーで見る→「潮目の海」で魚食文化に心を寄せる
環境水族館アクアマリンふくしま (福島県)
“環境水族館” を標榜する「アクアマリンふくしま」は、その名のとおり地元福島沖の海洋資源を研究し、取り巻く環境を再現して展示するのがコンセプト。
最も象徴的なのは「潮目の海」で、福島の沖合でぶつかり合う親潮と黒潮を2つの巨大水槽で表現し、はざまの三角形のトンネルを歩けば「潮目」を体感できます。
「潮目の海」。写真は左が福島沖で南から来る流れの速い黒潮の水槽。マイワシの群泳が銀色に輝く。右は親潮の水槽。人は潮目の海底を歩くように三角形のトンネルを進む。
海中を超高速で泳ぐキハダが眼前に。魚の模様が鮮明に見えるのは上部から太陽光が入るからこそ。
カツオやマイワシが高速で回游する黒潮の水槽に対し親潮水槽のマボヤやチカの泳ぎはなんとゆっくりなことか。違いが間近で感じられます。
そして振り返れば「寿司処 潮目の海」が。そう、ここは生き物と「食」との繫がりを端的に示す水族館なのです。
「寿司処 潮目の海」では泳ぐ魚を見ながらすしを味わえる。資源量の安定した魚を中心に提供。営業は土曜・日曜・祝日のみ(11時~15時)。写真提供/同館
「海を通して人と地球の未来を考える」というテーマから資源量の多い・少ないを紹介する取り組み「ハッピーオーシャンズ」も発信。
魚の資源量の安定の度合いを赤・黄・青の信号で表現した「ハッピーオーシャンズ」。現在60種の魚がリスト化され、今なお更新中。資源量を意識しながら食べるのも共生の第一歩。
多彩な展示や活動を通して、豊かな海に恵まれた日本の「魚食文化」に自ずと心が向く機会を与えてくれます。
また「親潮アイスボックス」にはオホーツク海の深海にすむ希少生物が勢揃い。
オホーツク海の深海の生き物を展示した「親潮アイスボックス」。宝石箱のような水槽で紹介。
未来の水産資源をいち早く見ることができる不思議な世界に心惹かれて、繰り返し足を運びたくなります。
巨大なガラス張りの本館を中心に「じゃぶじゃぶ・めぐりの海」や「びおびお・つながりの里」などがある。
「世界初展示」「日本初記録種」「初繁殖成功」など、ここでしか見られない希少種が勢揃い。(写真提供/同館)
ハゴロモコンニャクウオ
ナメダンゴ
ダイオウキジンエビ
ホカケコオリカジカ
コトクラゲ
オオグチボヤ
アバチャン
ラウスツノナガモエビ
環境水族館アクアマリンふくしま住所:福島県いわき市小名浜辰巳町50
TEL:0246(73)2525
開館時間:9時~17時30分 12月1日~3月20日は17時まで(いずれも1時間前最終入館)
休館日:無休
入館料:大人1850円 年間パスポート4250円
(次回に続く。
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