〔特集〕最新展示で命の躍動と不思議に出合う 大人が楽しい水族館・動物園 豊かな自然環境のもと、瑞々しい生命の息吹に触れられる水族館・動物園は、人生経験を重ねた大人が改めて学びや癒やしを得られるスポットとして今、注目を集めています。生き物が暮らす環境の再現や、アートのような演出など、非日常感を味わえる展示方法に魅力ある施設を中心に、全国から厳選してご案内します。
前回の記事はこちら>>・
特集「大人が楽しい水族館・動物園」の記事一覧はこちら>>>
“水中美術館” で マインドフルネス
はるか遠い昔、この地球に初めて宿った命の鼓動が聞こえてくるかのような水中の世界。近年は海や川の生き物たちの営みをアートに見立てた展示の水族館が増えています。自然環境を見事に再現した、美術館のような水族館を訪れて、非日常のひとときを過ごしながら、涼やかに心をリフレッシュしてみてはいかがでしょう。
絵画を愛でるように四国水景を堪能
四国水族館 (香川県)
「四国水族館」の中に入ると、まず迎えてくれるのが「渦潮の景」。陽光が降り注ぐ海中で激流をものともせず泳ぐのはマダイやヒレナガカンパチ、イサキといった鳴門海峡の魚たち。逞しくも優美な泳ぎぶりに、誰もがしばし立ち止まる。そして見入っているうちに気分は海底散策へ。
瀬戸大橋のたもと、宇多津臨海公園の中に位置する「四国水族館」。2020年、コロナ禍中のオープンにもかかわらず高い人気を誇り、平日でも国内外からの来館者で賑わいます。
高松市在住の上原哲郎さん・友香さんご夫妻は初めての来館。宇和島の海を再現したという「海中のお花畑の景」に足が止まる。
「四国水景」と銘打ち、瀬戸内海や太平洋、四万十川といった河川にため池と、四国ならではの多様な水中世界が6つのゾーンと70の水景で表現されています。
「神無月の景」でアカシュモクザメの魚影を見上げる上原さんご夫妻とご子息の一真さん。
「渦潮の景」や「神無月の景」といったダイナミックな展示がある一方で、額縁に囲まれた水槽は一転して「静」の世界。さながら美術館の絵画のようです。
四国の南側の海に生息する深海魚のエリア。
順路の指定がなく、自由に観賞できるのも魅力です。歩き疲れたら、巨大水槽「綿津見の景」の前のシートでひと休みしてはいかがでしょう。黒潮の流れに乗って、伸びやかに回游するアジの仲間やエイの動きは見飽きることがありません。
「綿津見の景」の前にはシートが用意され、美しい魚群の動きに時を忘れる。
2階に上がると眼前には瀬戸内の絶景。インフィニティプールのごとき「海豚プール」で開催される、イルカと飼育スタッフの「プレイングタイム」はいつも大人気。
7頭のマダライルカのうち数頭が飼育スタッフと遊ぶ「プレイングタイム」。一斉に宙に舞うジャンプは圧巻。
プールと客席の境にはアクリルパネルがなく、プールの浅瀬部分で遊ぶイルカの息づかいが聞こえる。
閉館は通常18時ですが、夏場は延長されるので「キッチンせとうち」で提供されるビールを片手に潮風が心地よいデッキに出て、島々の向こうに沈む夕陽をゆっくり眺めるのも、大人ならではの楽しみです。
黒板は職員の方々渾身の手描きで、丁寧に描き込まれたチョークの魚絵は見事。
四国水族館住所:香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁4
TEL:0877(49)4590
開館時間:9時~18時 2025年9月1日~30日は日没の10分後まで(17時30分最終入館)
休館日:無休
入館料:大人2600円 年間パスポート1万1000円(シングルパス) 2万2000円(ペアパス)
(次回に続く。
この特集の記事一覧はこちらから>>)