名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
連載一覧はこちら>>
海野(うんの)
「海野」と書いてなんと読むでしょうか。
歴史好きの人や長野県の人は当然のように「うんの」と読むと思いますが、実は4割ほどは「うみの」と読みます。さらに「かいの」と読む名字も各地に点々とあります。
さて、この名字は地名由来のもので、ルーツは信濃国小県郡海野(うんの)荘(現在の長野県東御市海野)です。
長野県東部には古くから、海野(うんの)氏、禰津(ねづ)氏、望月氏という3つの氏族が勢力を持っていました。3氏は同族で、合わせて「滋野三家」とも呼ばれていました。源平合戦の際の源義仲の挙兵には海野幸親が従っているなど、この地を代表する武士だったのです。
北国街道の宿場町である海野宿
さて、この場所は今では古い街並みが残る「海野宿」として知られています。江戸時代には北国街道の宿場町で、江戸時代の宿場と明治時代の養蚕農家が混じった街並みとして「重要伝統的建造物群保存地区」にも指定されています。
海野氏の発祥地の碑
海野宿のはずれには海野氏の氏神である白鳥神社があり、その近くには海野氏の発祥地の碑も建てられています。
さて、海野氏は鎌倉時代から戦国時代まで東信地方の名族として知られていました。しかし、戦国時代に海野棟綱が武田信虎・諏訪頼重・村上義清の連合軍に敗れて上野国に逃れ、没落します。のちに海野一族の真田氏が上野国から戻って武田信玄に仕え、この付近を支配しました。
海野氏の一族はその後駿河国に移ったといいます。現在でも「海野」は静岡県に集中しており、同県でほぼ「うんの」と読みます。
なお、長野県・静岡県以外では、「海(うみ)」という漢字の読み通りに「うみの」と読むことが多くなっています。また、和歌山県や山形県では「かいの」とも読みます。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)
セブンアカデミーで越智まみさんの「オンライン書道」墨アートレッスンが開催中。詳細は
こちらから>>