
さて、「あせび」とはツツジ科の植物のことです。関東以西に広く分布する2メートル前後の低木で、早春の頃に白い壺状の花がたくさん咲きます。近年は園芸植物としても栽培されるようになりました。
古代には「あしび」といわれ、『万葉集』には「あしび」を詠んだ歌が10首あり、漢字では「馬酔木」と表記しました。雑誌『馬酔木』のタイトルと漢字はここに由来しているのです。
では、なぜ「馬酔木」と書くかというと、あせびの葉にはグラヤノトキシンⅠなどの有毒成分が含まれており、馬が葉を食べると酔ったようにふらふらするのです。そこから「あせび」には、馬が酔う木=馬酔木という漢字があてられました。
さらに「あせび」には「馬酔」という漢字をあてることもあり、名字では「馬酔」と書くのです。
現在は山口県熊毛町などにありますが、難読であることから漢字の読み方通りに「ますい」とも読みます。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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写真提供/森岡 浩