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俳句好きなら読める?植物に由来する難読名字「馬酔」

2025.10.08

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墨アート製作/越智まみ

名字の世界 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:馬酔(あせび)

「馬酔」という珍しい名字があります。この名字も漢字と読み方が全く対応しておらず、知らない限りは読むことができません。

しかし、俳句を嗜む方だとなんとなく見たことがある、という人も多いと思います。というのも、俳句の世界を代表する『馬酔木』という俳句雑誌があるのです。

『馬酔木』は俳人・水原秋櫻子が主宰した俳句会の雑誌で「あしび」と読み、山口誓子、石田波郷など、戦後を代表する俳人たちが集っていました。現在も月刊の俳句雑誌として続いています。従って、「馬酔木」と書いて「あしび」と読める人は比較的多いと思います。


しかし、名字では「馬酔木」ではなく「馬酔」と書き、読み方も「あせび」です。

日本人に古くから親しまれる「あせび」

日本人に古くから親しまれる「あせび」

さて、「あせび」とはツツジ科の植物のことです。関東以西に広く分布する2メートル前後の低木で、早春の頃に白い壺状の花がたくさん咲きます。近年は園芸植物としても栽培されるようになりました。

古代には「あしび」といわれ、『万葉集』には「あしび」を詠んだ歌が10首あり、漢字では「馬酔木」と表記しました。雑誌『馬酔木』のタイトルと漢字はここに由来しているのです。

では、なぜ「馬酔木」と書くかというと、あせびの葉にはグラヤノトキシンⅠなどの有毒成分が含まれており、馬が葉を食べると酔ったようにふらふらするのです。そこから「あせび」には、馬が酔う木=馬酔木という漢字があてられました。

さらに「あせび」には「馬酔」という漢字をあてることもあり、名字では「馬酔」と書くのです。

現在は山口県熊毛町などにありますが、難読であることから漢字の読み方通りに「ますい」とも読みます。


森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。


墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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写真提供/森岡 浩

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