〔特集〕腸内細菌「酪酸菌(らくさんきん)」を育てて健康ライフ 食べる免疫力 腸には全身の免疫機能の約7割が備わっています。免疫機能が活性化するのは、各種の有用な腸内細菌の連携プレーがあってこそです。その中でも要注目なのが、有用菌の一つである「酪酸菌」。腸内で酪酸を産生して免疫力の高い体作りに関与しています。酪酸菌を増やし育てる食生活を心がけることで、健康長寿を目指しましょう。
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大腸がん、心疾患、脳血管疾患が少ない 京丹後市の百寿者は「酪酸菌」が豊富
京丹後は、海・山・田園が広がる自然豊かな地形。海産物と農作物に恵まれた地域。
丹後半島に位置する京丹後は、険しい山々に囲まれ、海に面した袖志の棚田でも有名な、風光明媚で食材の豊かな地域です。さらにこの地を有名にしたのは、元気な百寿者の人口割合が全国平均の約3倍であることです。
有数の健康長寿地域・京丹後の食事は、全粒穀物、豆類、いも類、海藻類など食物繊維が中心です
一般的に腸内細菌叢は、加齢に伴い善玉菌と呼ばれるビフィズス菌は減少し、腸管に炎症を起こす大腸菌などを含むプロテオバクテリア門の菌が増加します。ところが、京丹後の高齢者の腸内細菌叢は、酪酸菌が豊富で、プロテオバクテリア門が少ないことが判明。
「京丹後長寿コホート研究」で調査した結果、京丹後市の人は京都の人に比べて、明らかに酪酸菌が多く、本来なら加齢とともに増え、寿命を左右するプロテオバクテリア門が少なかった。(出典/Naito Y et ai. J Clin Biochem Nutr 2019;65 (2):125-131.)
さらにインフルエンザ感染率が低く、サルコペニア(加齢による骨格筋量、筋力の低下)は10パーセント未満、認知症も少なく、血管年齢が非常に若いという特徴があります。それは、地域に根づく食生活が影響しているのです。
主食に全粒穀物を週3〜4回取り入れ、豆類、根菜類、海藻を煮炊きする伝統食が副菜に添えられます。これらの食事は、酪酸菌の餌となる食物繊維を多く含みます。食物繊維の摂取量が多いほど、心疾患、糖尿病、大腸がんの罹患率が低くなることはすでに判明しており、京丹後の高齢者が実証しています。
多種多様な魚介類や豆類でたんぱく質が容易に補える
左・丹後ばらずし 右・へしこ

四季を通して多様な魚介類に恵まれる京丹後。郷土料理の「丹後ばらずし」は焼きさばをご飯に混ぜ、食物繊維が豊富なきのこ類をたっぷりと加えたもの。「へしこ」はさばやいわしなどを米ぬかと塩で漬け込んだ保存食。発酵食として腸内細菌の活性化に役立ちます。豆を生かした郷土料理も豊富。腸内細菌を整える秘訣は食生活にあります。
食物繊維を多く含む海藻類の常食で
体内の酪酸菌が豊富に
リアス海岸の丹後半島北岸は日本三景の松島に似ていることから丹後松島と呼ばれています。豊かな海からとれる魚介類や海藻類は人々の健康長寿を支えます。
海でとれたわかめを水洗いし、広げて天日干しした特産品の「板わかめ」。

京丹後の食卓には、わかめご飯や酢の物など海藻類の料理が多く登場。わかめはアルギン酸やフコイダン、食物繊維が多い食材です。

(次回に続く。
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