その価値は、歴史と技術にあり──美しき、物語のある腕時計 腕時計とは、時を知るためのツール。正確な時間が知りたいだけなら、時計選びに、それほど迷うことはありません。私たちが、腕時計にそれ以上の“何か”を求めるのは何百年という歴史を誇る老舗メゾンの圧倒的なストーリーに、ロマンを感じるから。時代を超越した普遍の価値、それこそが、真の美しい時計と言えるかもしれません。
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BREGUET(ブレゲ)
─SINCE 1775─
稀代の天才と謳われる創業者のアブラアン-ルイ・ブレゲは、18世紀にフランスで活躍した時計師。トゥールビヨンや永久カレンダーの開発など、時計の歴史を200年早めたとして「時計界のレオナルド・ダ・ヴィンチ」とも称されています。
アブラアン-ルイ・ブレゲの時計の信奉者であった、フランス王妃マリー・アントワネット(1755-1793)。
現代のあらゆる時計に影響を与え続ける偉大な存在
17世紀に活躍したフランス人時計師、アブラアン-ルイ・ブレゲによって創設された時計メゾン。マリー・アントワネットのために時計を製作したことでも有名ですが、この天才時計師の影響を受けていない時計は存在しないといっても、過言ではありません。
ブレゲ数字にブレゲ針、ブレゲひげゼンマイなど、競合する他社ブランドも、彼をオマージュしてブレゲスタイルを現代の時計に取り入れています。
2025年は、ブレゲの創業250周年。その記念時計の第一弾として発表されたのが、かつての懐中時計を復刻した1本針時計「スースクリプション」(フランス語で「予約」の意)。
アブラアンは時計の予約と同時に、4分の1の代金を前金で受け取るシステムを確立。安定した収入で高いクオリティを維持し、より多くの顧客を満足させることに成功しました。天才時計師だった彼は、経営のセンスも抜群だったのです。
フランス革命で痛手を負った工房を立て直すため、初代ブレゲはスースクリプションを考案。250周年記念モデルのもとになっている初のスースクリプションウォッチは、1796年に誕生。シンプルな1本針のムーブメントは、壊れにくいと評判になりました。

ブレゲの時計であることを証明するためダイアルにはシークレットサインが入っていますが、復刻版のほうにも当時と同じパンタグラフ彫刻機を使ったサインが入っています。

1本の針は12時間で1周。中央が膨らむエナメルダイアルの外周には5分間隔の目盛りが刻まれており、5分単位で時刻を知ることができます。ケースはパラジウムを加えたブレゲゴールドを初採用。「クラシック スースクリプション2025」(18Kブレゲゴールド、アリゲーターストラップ、ケース径40ミリ、手巻き)735万9000円(ブレゲ ブティック銀座 電話 03-6254-7211 URL:https://www.breguet.com/)
この記事の掲載号
『KATEIGAHO JOURNAL(家庭画報 ジャーナル)』
2025年6月7日発行号(非売品/Free)

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