シンプルでエレガントなドレスウォッチを、腕時計で初めて確立したパテック フィリップ。その原点「カラトラバ」とは？

その価値は、歴史と技術にあり──美しき、物語のある腕時計　腕時計とは、時を知るためのツール。正確な時間が知りたいだけなら、時計選びに、それほど迷うことはありません。私たちが、腕時計にそれ以上の“何か”を求めるのは何百年という歴史を誇る老舗メゾンの圧倒的なストーリーに、ロマンを感じるから。時代を超越した普遍の価値、それこそが、真の美しい時計と言えるかもしれません。

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PATEK PHILIPPE（パテック フィリップ）
─SINCE 1839─

アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックとフランソワ・チャペックによって1839年に設立されたパテック フィリップ。創業から一貫して「独立ブランド」にこだわり、現在もスターン家による家族経営が続いています。

創業より、パテックフィリップの経営を担うスターン家。左が名誉会長のフィリップ・スターン氏で、右は息子で四代目社長のティエリー・スターン氏。

ニュアンスのあるシルバーグレインのダイアルに、ゴールドの針と数字が華やかさをプラス。徹底的に磨き上げられたパーツの輝きによって、抜群の存在感を放ちます。「7200 -カラトラバ」。（18Kローズゴールド、アリゲーターストラップ、ケース径34.6ミリ、自動巻き）539万円（パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター　電話　03-3255-8109 URL：https://www.patek.com/）

時計を構成する全てのパーツで最高品質にこだわる

複雑な機構の時計で有名な「パテックフィリップ」ですが、シンプルでエレガントな「ドレスウォッチ」を、腕時計で初めて確立したブランドとしても知られています。ここに紹介している時計のコレクション名にもなっているカラトラバの原点は、1932年に誕生しました。

シンプルな丸型ケースに、一切の無駄を削ぎ落としたダイアルを組み合わせた「カラトラバ96」。その洗練された美しさで大きな反響を呼びます。

名作時計の原点、1932年の「カラトラバ96」。

当時、腕時計といえばまだ軍用のものが多く、レディスウォッチにおいてはデコラティブなジュエリーウォッチが主流の時代。世界大恐慌によりパテックフィリップも経営の危機に見舞われますが、その救世主となったのがカラトラバでした。

ケースは非常に薄く実用的。極めてエレガントな見た目でありながら、どこか控えめ。カラトラバは、その後のドレスウォッチの基軸となったのです。

7200 カラトラバのケースバック。パテック フィリップのスタイルを象徴するコレクション名として採用されたカラトラバ。名前の由来は12世紀に活躍したスペインの「カラトラバ騎士団」にあります。その紋章であったカラトラバ十字は4つの百合の花で描かれ、勇気、礼節、独立という、騎士に不可欠な資質を象徴。パテック フィリップも同じ精神を追求することから、カラトラバ十字の紋章を1887年に商標登録しました。そのエンブレムは、ムーブメントの回転ローターなどに刻まれています。

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この記事の掲載号
『KATEIGAHO JOURNAL（家庭画報 ジャーナル）』
2025年6月7日発行号（非売品／Free）

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