藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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6月の花「リシアンサス」

花弁の繊細なフリンジが新鮮なリシアンサス‘セレブスパーク ラベンダー’に、シャクヤク‘かぐや姫’やスカビオサ‘ボンボンスクープ フレンチバニラ’などを合わせ、初夏のアレンジを制作しました。リシアンサスの透明感あるラベンター色が爽やかでとてもきれい!ほかに、スターチス‘レディスノー’、セアノサス‘マリーサイモン’、ヒメリョウブ、ビターチョコゼラニウムなどを使用。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
毎年魅力的な新作がデビューする人気の花です!
和名はトルコギキョウ、学名はユーストマ。旧学名のリシアンサスを現在でも使用する生産者さんが多いため、花市場ではリシアンサスの名前でも出回ります。
2022年7月15日の掲載でリシアンサスを取りあげ、名前についても説明いたしましたが、今回はその第2弾。第1弾同様にリシアンサスの名前でご紹介します。
どうしてリシアンサスで第2弾をしたかったか、それは第1弾の配信後に魅力的な新作がたくさんデビューしたためです。リシアンサスは一年中、何かしらの品種が出回り、花もちがよいため、贈り花やウエディングのシーンでよく利用されます。バラに見劣りしない豪華な大輪品種が登場してからはさらに人気が高まり、品種の開発も盛んに行われ、毎年新しい品種がお目見えしています。なかには私好みの素敵な品種もあって、毎年お気に入りのリシアンサスが更新されるという楽しいサイクルになっています。
(1)‘セレブスパーク ラベンダー’
まずご紹介したいのは「こんなリシアンサス、見たことない!」と驚いた‘セレブスパーク’というシリーズです。
花の育種も手掛ける「住化農業資材株式会社」が育種した大輪八重フリンジ咲きの‘セレブスパーク ラベンダー’。ボリューム感がありながら、繊細なフリンジが軽やかで、透明感のある花色も魅力的です。

姫路市のワインバーに開店の贈り花を。リシアンサス‘セレブスパーク ラベンダー’に、シャクヤク‘酔月’、パフィオペディルム‘クレアドルーン’、ブルーリーフルーなどを合わせたアレンジです。バラと比べるとよくわかると思いますが、大輪のリシアンサスはふんわり軽やかなボリューム感が魅力です。’
過去にもフリンジ咲きはありましたが、花弁の先がこれほど繊細なフリンジになるのは珍しく、新鮮な印象を受けました。ラベンダー、オレンジ、グレープの3色があり、弁先にかけて少し淡くなるグラデーションもとてもきれいです。
(2)‘ノアシルキーピンク’
リシアンサスにはピンク系の品種が多くありますが、2022年にデビューした‘ノアシルキーピンク’のかわいらしさには目を見張りました。
「株式会社ミヨシ」が育種した大輪丸弁フリンジ咲きの‘ノア シルキーピンク’。透明感があり、とてもやわらかなピンクに魅了されました。これは長崎県雲仙市の「栗林FLOWER」さんが栽培したもの。「栗林FLOWER」さんは、作り手の腕前が試されるリシアンサスの生産に魅力を感じ、リシアンサスをメインに栽培していらっしゃいます。
これを育種したのは「株式会社ミヨシ」で、じつは2022年-2023年版のカタログで、この新色を使った作品の制作を依頼されました。世に広まる前にこの魅力的な花色でブーケを制作させていただいたこと、とても幸せに感じています。花色だけでなく、整った花形の美しさもこの花の魅力です。
‘ノア シルキーピンク’のデビューに際し、カタログ用に依頼されて制作したブーケです。ほかに花色を加えず、クリスマスローズ‘オリエンタリスグリーン’とタラスピオファリムの優しいグリーンのみをピンクと対比させました。リシアンサスの淡い緑の蕾もかわいらしい!

結婚記念日のお祝いに、リシアンサス‘ノア シルキーピンク’をメインにしたアレンジを制作しました。黄緑色のリシアンサスは‘アンバーダブルモヒート’。ほかにスプレーバラの‘ストロベリーモンローウォーク’、パフテオペディルム‘デレナティー’、タラスピオファリム、ローズゼラニウム、ヒメリョウブを使用。
ほかにも人気の大輪八重咲きシリーズの‘ボヤージュ’に美しいマーブルの花色が登場。また、人気の高い緑系には、やわらかなミルクグリーンの品種が仲間入りしています。今年はどんな品種が登場するのか楽しみで、新作の情報を見逃さないようにチェックしています。
リシアンサスは夏の贈り花でもよく利用しますが、夏場でもクオリティーの高い花を生産する北海道の花農家さんから仕入れるなど、全国にアンテナを張り巡らせて、シーズンごとにベストなリシアンサスを入手するよう心掛けています。
(3)‘セレブスパーク オレンジ’

華やかなサーモンオレンジ色のリシアンサス‘セレブスパーク オレンジ’。これはリシアンサス生産の名手、静岡県浜松市の山本善之さんが栽培したもの。花色、花形、ともに品種の特徴がよく表されていてすばらしい!

息子さんご夫妻の結婚記念日に、ご両親からお祝いの贈り花です。リシアンサス‘セレブスパーク オレンジ’にあでやかなオレンジ色のバラ‘カルペディエム’を合わせ、シルバー色に近いケイトウ‘アスカセレクト スワプナ’、パフィオペディルム‘デレナティー’、ブルーリーフルーを加えたアレンジです。ブルーリーフルーの青みがかった葉色が、華やかなオレンジ色を引き立てます。