【今、この人に会いたい!】小野絢子さん ※秘蔵フォトギャラリーあり
2011年に英国ロイヤルバレエが初演し、世界中が熱狂したバレエ『不思議の国のアリス』。英国を代表する作家、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を題材に、振付は現代バレエの振付家として活躍中のクリストファー・ウィールドン、音楽は映画やテレビドラマなどの音楽を手がける作曲家ジョビー・タルボット、美術には数々の作品でトニー賞を受賞したボブ・クロウリーが担当したことでも話題を呼びました。
その話題作が、6月12日~24日、新国立劇場オペラパレスで上演されます。アリス役を務める新国立劇場バレエ団のプリンシパルダンサー、小野絢子さんに本作の魅力と見どころについてお話を伺いました。
今回は、2025年6月17日(火)13:00~のS席チケットを、1組2名様にプレゼントいたします。
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アリスはフィジカル面が試される難役
――『不思議の国のアリス』は2011年に英国ロイヤルバレエが初演し、新国立劇場バレエ団では18年に初演、22年に再演されました。小野さんは初演時からアリス役を務められていますが、初演と再演、それぞれいかがでしたか。 小野さん:まず驚いたのは、アリス役の出演時間の長さでした。他のバレエ作品と比べても出番が圧倒的に多くて。英国ロイヤルバレエの公演は映像で何度も観ていましたので、覚悟はしていたものの、想像を遥かに超えていました(笑)。記憶にある限り、舞台に立っている時間も踊っている時間も、もっとも長いのではないかと思います。
正直、最後まで踊りきる体力があるのだろうかと、フィジカル面で不安にもなりましたが、それは杞憂に終わりました。というのも、振付家のクリストファー・ウィールドンさんとそのチームが指導のために来日し、本番までにやるべきことを綿密にプランニングしてくれて、そのプラン通りに稽古を重ねていくうちに身体ができ上がっていき、踊りきる体力もついていったのです。
――そんなに緻密だったのですか。小野さん:「アリスという役はフィジカル面もとても大変だから、この週までにこれとこれをやります」という感じで、公演本番からスケジュールを逆算し、やるべきことがすべて明確に整理されていて、具体的な日程まで組まれていたんです。振り写しから個別での稽古、小道具の使い方、舞台上での動線の確認などが細かく設定されていまして。しかも、それがすべての役において組まれていたので驚きました。
――アーティストでありながら、論理的な方なのですね。小野さん:ウィールドンさんはそのように論理的に物ごとを進められる一方で、芸術的な感性もお持ちで、そのバランスから生み出される指導も印象深かったです。コール・ド・バレエを指導するのに数字を使って明確な指示を出したかと思えば、ソリストにはあえて抽象的な表現で伝えてダンサーの想像力を掻き立てる。アリスであれば、「もっと足を引っ張られているみたいに動いて」「タンポポの綿毛をふわっと吹くように」など、指導における表現を使い分けられていて、素敵で充実したリハーサル時間でした。
――ほかに印象に残っていることはありますか。小野さん:あとは、リハーサルが多かったことでしょうか。『くるみ割り人形』や『眠れる森の美女』の場合は、主役に限らず他の役も“舞台に出て踊る”“踊り終わったら舞台袖にはける”という演出が多いので、出演者が一堂に会してリハーサルを行うことはあるものの、どちらかというと各自の稽古に時間を費やします。
ところが、アリスの場合は出ていないシーンがほぼないので、こっちのリハをやったら、今度はあっちのリハに出て……みたいな感じで終始バタバタでした。気がついたら、「あっ、足がつる!」なんてこともあったりして(笑)。観る側であれば『不思議の国のアリス』という作品は楽しいのですが、いざ踊るとなると覚悟がいるのだと実感しました。
――本番はいかがでしたか。小野さん:体力の消耗が激しかったこと以外、あまり記憶がなく……(笑)。ただ、“楽しかった”という鮮烈な気持ちは残っています。他のバレエ作品とは異なり、クラシック・バレエの動きにはない(小野さんが実演しながら)「仁王立ち!」というポーズをしたり、カップケーキやマシュマロを食べるフリではなく、本当に食べたり。ほかにも、マッドハッターがタップダンスを披露するのを観客のひとりの立場で見て感動したり、アリスが笑う場面では笑ってしまったり。アリスを通して、私自身も楽しい経験をさせていただきました。
再演時は何人かメンバーも入れ替わり、各キャラクターにも変化が生まれ、初演時とはまた違う空気感があって新鮮な気持ちで舞台に臨めました。今回も初役のダンサー、初めて出演するダンサーもたくさんいるので、前回とはまた違った舞台をお見せできるのではないかと思います。
お姉さまがバレエを習っていたことがきっかけで、4歳でバレエを始めた小野さん。プロのダンサーになりたいと思ったのは意外にも高校2年生のとき。「学校で進路希望を出さなければならなくて、その時に初めてプロになりたいと思ったんです。それまでは、ただ楽しくて続けていたので、まさかこんなに長く踊ることになるとは夢にも思わなくて……。今は仕事として踊っているので、流石に楽しいという気持ちだけではなくなりましたが(笑)、それでもバレエが好きだという思いは変わりません」(小野さん)。
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