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考え方次第で、介護はもっと楽になる。いとうまい子さんが学んだ「3つの大切」

2025.06.04

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つらくて不安なあなたに伝えたい「私の介護体験」第6回 アイドルとして大活躍した、いとうまい子さん。45歳で一念発起して早稲田大学に入学し、この4月、大学教授に就任されました。研究と教育に生かされているのが父の看病と母の介護の体験。そこで学んだ考え方のコツ、そして今も残る、ある後悔についてもお話しくださいました。前回の記事はこちら>>

自らの経験を研究・教育に生かす「考え方次第で、介護はもっと楽になる」

いとうまい子さん(俳優・研究者・経営者)

いとうまい子(いとう・まいこ)さん

いとうまい子(いとう・まいこ)さん 1983年アイドルデビュー。現在はドラマや映画で俳優をこなす一方、テレビ番組制作会社ライトスタッフ代表取締役社長を務める。2010年早稲田大学入学。修士課程ではロコモティブシンドローム予防のための高齢者に役立つ医療・福祉ロボットの研究に携わり、博士課程進学後は基礎老化学を研究。現在は東京大学大学院理学系研究科に研究生として所属し、抗老化を研究。21年内閣府の教育未来創造会議の構成員に選任。25年4月より情報経営イノベーション専門職大学教授、洗足学園音楽大学客員教授に就任。

父の姿に筋力の大切さを実感しロコモ予防ロボットを開発

いとうまい子さんが、世の中に恩返しをしたいと早稲田大学に入学し、予防医学を学び始めたのは45歳のときでした。その後、ロボット工学を勉強する中で知ったのが、運動器の障害のために移動機能が低下した状態を指す「ロコモティブシンドローム」(ロコモ)という言葉。高齢社会の社会課題の一つだと思い、ロコモ予防に役立つロボットの研究にとりかかります。

「ロコモの本当の大変さに気づいたのは、父ががんになり、入院中にみるみる筋力が衰えていく様子を目の当たりにしたときでした。自力ではベッドから起き上がれず、私が手伝っても体を起こせないのです。筋力が弱るって、こういうことなんだ……。ベッドで病院の無機質な天井を眺めるだけの日々はどれだけもどかしく、無念だったことでしょう。そこからいっそう本腰を入れてロコモ予防のためのロボット開発に取り組みました」(いとうさん)

こうして大学院修士課程のときに高齢者のためのロコモ予防介護支援ロボット「ロコピョン」を開発し、2015年9月のロボット展で展示しました。


右・いとうさんが開発したロコモ予防介護支援ロボット「ロコピョン」。音声認識機能を用いて1日3回声かけをし、スクワット運動を促す。利用者が答えた回数だけロコピョンが一緒にスクワットを行う。画像認識システムによるフォームのチェックや見守りの機能も搭載。写真提供/いとうまい子さん

いとうさんが開発したロコモ予防介護支援ロボット「ロコピョン」。音声認識機能を用いて1日3回声かけをし、スクワット運動を促す。利用者が答えた回数だけロコピョンが一緒にスクワットを行う。画像認識システムによるフォームのチェックや見守りの機能も搭載。写真提供/いとうまい子さん

ロコピョンは、1日3回、高齢者に「何回スクワットしますか?」と話しかけ、答えた回数だけ一緒にスクワットをしてくれる対話型のロボットです。独居老人が増え、介護業界の人手不足が進む中、筋力を保ち、ロコモ予防を促す新たな方法の可能性を示すことができました。

いとうまい子さん 介護と研究の足跡

取材・文/浅原須美

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