藤野幸信さんのブーケ&アレンジ「初夏の花木を飾る・贈る」第1回 夏に咲く花木は、枝ものとして切り花でもお店に並べられます。ハウス栽培が難しいものがあるため、出回り期間が短く、それだけにより季節感を感じることができます。そんな枝ものを使ったブーケやアレンジを「フルール トレモロ」の藤野幸信さんが提案。ご自宅に飾るもよし、大切な方へ贈るもよし、また6月に出回るものは、父の日の贈り花にしても喜ばれるでしょう。
長野県から届いたライラックは新鮮な葉も利用できる。花器に浸した枝の太さから高木であることがわかる。
ライラック
「リラの花咲く頃」を魅惑的な香りで堪能したい
ライラックは英名で、フランス語だとリラ。フランスでは「リラの花咲く頃」という表現があり、これは一年で最もよい季節を意味します。冷涼な気候を好むため、日本では長野県や北海道でよく栽培され、5月上・中旬に見頃を迎えます。札幌市では市花に選定されており、大通り公園に紫花約370本、白花約30本ものライラックが植えられ、毎年5月中旬から「さっぽろライラックまつり」が開催されます。
枝もののライラックが市場に出回るのは4月下旬から5月いっぱい。期間が短いゆえに、この花を見ると初夏の爽やかさが実感できます。蕾の状態で入荷するので、花が開くほどに強くなる甘くロマンチックな香りも大きな魅力です。ぜひこの芳香をご家族で、またご友人に贈って楽しんでください。紫の濃淡、赤紫、淡いピンク、そして白と、花色のバリエーションがあり、ほかの花との色合わせで雰囲気が異なるブーケやアレンジができます。

■モクセイ科の落葉高木
■別名:リラ、ムラサキハシドイ
■庭で咲く時期:4月〜5月
■切り花の出回り時期:4月下旬〜5月
■水揚げの方法:切り口を熱湯に浸した後、斜めにカット。
Arrangement
紫のグラデーションで大人っぽいエレガンスを表現

長野県・南信州産のライラックをたっぷり使い、紫の濃淡の花を集めてエレガントなアレンジに。吸水させたフローラルフォーム(花用の吸水スポンジ)を器にセットして花を挿している。周囲にアスパラガスの繊細な葉をあしらい、ナチュラルな雰囲気に。
■使用花材/ライラック、マム「セイマノア」、シャクヤク「ホワイトアイボリー」、スズラン、リューココリーネ、クレマチス「ソシアリス」、アスパラガス・スプレンゲリーなど。
藤野幸信さん Yukinobu Fujino「fleurs trémolo(フルールトレモロ)」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻修了後、フローリストの道へ進むという異色の経歴の持ち主。著書に『
大切な人への贈り花』(小社刊)がある。
広島市南区段原1-5-7
TEL:082(261)3970
https://fleurs-tremolo.com
蕾の濃い赤紫は、花が開くにつれてピンクへ。赤紫のライラックはとてもエレガントな印象。
Arrangement
淡いピンクの色合わせで優しさを感じさせるアレンジに

淡いピンクのライラックに、シャクヤクやリシアンサスなどの淡いピンクを合わせたアレンジは、穏やかで優しさのある雰囲気に。白い花穂のヒメリョウブもこの時期に出回る枝もので季節感がある。
■使用花材/ライラック、シャクヤク「氷点」、リシアンサス「ボヤージュ ブルーシェイク」、ブルーレースフラワー「ラッキーレディ」、スターチス「シースルーホワイト」、ヒメリョウブ、ビターチョコレートゼラニウムなど。
Bouquet
ライラック色のバラを加えてより優雅さを演出

赤紫のライラックに「ライラッククラシック」という名前のバラを合わせ、手もとで束ねてブーケに。花名で選ぶ遊び心も一緒にお届けしたい。同じような花色で異なる花形を組み合わせることで、メリハリのある仕上がりになる。
■使用花材/ライラック、バラ「ライラッククラシック」、リューココリーネ「ジャパンブルー」、ローズゼラニウム、ビバーナム・スノーボール、ユーカリなど。
Bouquet
白のライラックでクールビューティのブーケ

涼やかな印象の白のライラックに、ニゲラやブルーレースフラワーの濃淡ブルーを合わせて束ねると、クールな雰囲気のブーケに。出回り始めたベル形のクレマチスをアクセントに加えることでより表情が豊かになる。
■使用花材/ライラック、ニゲラ「ミスジーキル」、リシアンサス「アンバーダブルモヒート」、クレマチス「篭口」、ブルーレースフラワー「ピュアレディ」、染めのアスチルベなど。
※次回へ続く。
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