レストラン

1かん目はこはだから。実直な仕事が光る「鮨処 やまと」

2025.04.18

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〔特集〕東京・京都・大阪&全国各地から厳選 いま訪ねたい “鮨” の新名店 世界中の美食家たちが、鮨を楽しむ旅の目的地としてこぞって日本を訪ねる時代。職人の技が冴える鮨を私たちが本当に心地よく味わえる、新たな名店を厳選してご案内します。前回の記事はこちら>>

特集「鮨の新名店」の記事一覧はこちら>>>

技に価格に “良心” が宿る精鋭店へ

味よし、人よし、雰囲気よし。そして価格も良心的。鮨を味わう本来の「喜び」をもたらす東西の佳店へ、春から初夏の旬を味わいに出かけましょう。

鮨処 やまと(東京・築地)
実直な仕事でもたらす、にぎり鮨の醍醐味

つまみはお酒に合うものを中心に8品ほど。手前から、脂がのったいわしとがりと芽ねぎを巻いた「いわし海苔巻き」。4日間水分を抜いてからあぶり、ねぎ味噌を添えた「平貝のねぎ味噌」、ほんのりと甘い「げその粕漬け」。

ご主人の安井大和さんは、「日本橋蛎殻町すぎた」の出身。二番手として親方の杉田孝明さんとともにつけ場に立ち、その腕を磨きました。独立して、この春で丸4年。立ち止まることなく試行錯誤しながら、自らの鮨を探求しようとする一途な生真面目さが、お客様に支持されています。


暖簾には杉田孝明さん筆による屋号と、暖簾分けの意を込めた「日本橋蛎殻町すぎた」の文字が。

「ずっと親方を目指してきましたが、やっていくうちに自然に自分の色が出せるようになりました」。昼限定で週に数回、にぎりだけのコースを始めたのも、「お鮨をたくさん食べてほしい」との思いから。日々、仕事を積み重ねてきた自信にほかなりません。

手前右から時計回りに、かすご、鯛、赤身、こはだ、すみいか、うに、煮帆立、とろ。3種の酢をブレンドしたきりっとした酢飯は、季節や天候によって、浸水時間や水の量などを細やかに調整。香りの強い赤酢を減らして白酢を増やし、鮨だねとの一体感を大切にしている。



煮帆立やこはだなど、手当てをした江戸前の鮨だねを美しく並べた木箱。にぎりに最適な温度調節の役割も果たしている。

1かん目をこはだから始めるのは、親方譲り。身厚なこはだの深い余韻と、砂糖を使わぬ、きりっとした酢飯とのまろやかな一体感に期待が高まります。とろはあえて筋のある「蛇腹」の部分をねかせて使い、嚙むことでじんわり口中にあふれる筋本来のうまみを堪能できるように。着実に少しずつ深化する、そのお鮨から目が離せません。

緻密な「仕事」がもたらす美味なる芸術品

酢飯は鮨の要。「鮨処 やまと」ではお客の入店時間に合わせて羽釜でご飯を炊き上げ、酢を回してしゃもじで素早く切る。

安井大和(やすい・やまと)
1992年生まれ 魚座 A型 香川県出身 座右の銘/昨日より今日、今日より明日 学生時代の部活/野球部

カウンター8席。4年経ち、白木のカウンターは柔らかな丸みを帯びてきた。

鮨処 やまと
住所:東京都中央区築地3-7-2 第5銀座ウェスト築地ビル1階
TEL:03(3543)6311
営業時間:平日12時、17時、19時20分。日曜は11時、12時20分、17時、19時20分(ともに各回一斉スタート)
定休日:不定休
予算:昼夜ともおまかせ2万7500円。にぎりのみ15かんのコース1万8000円は、不定期で週2、3回(予約の際に要確認)。要予約。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年05月号

家庭画報 2025年05月号

撮影/本誌・西山 航 取材・文/瀬川 慧

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