〔特集〕本物を持つことで生まれる豊かさ 「美しい家具」と暮らす 暮らしの中の美は人を幸せにする──たとえ、どんなに値が張ろうとも、いい家具にはそれを補って余りある豊かさがあります。生活の基盤となる家具は、決して間に合わせのものではなく、長く愛着をもって使うことができる“本物”をじっくりと吟味して選びたい。人生を豊かにする家具選びの極意と家具を愛する暮らしを紹介していきます。
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センスのいい人が選ぶ、私の愛着家具
本当によいものを、丁寧に愛着を持って長く使い続ける ── 各界で活躍されている方々に、愛用されている家具についてうかがいました。
「いつも暮らしの真ん中にある、優しさに満ち溢れたチェア」── トリドールホールディングス代表取締役社長 粟田貴也さん
ルイジアナ ラウンジチェア(De Padova)「全身を包み込んでくれるような座り心地に惚れ込みました。別荘を建てる際に購入したもので、セットのオットマンに足を置くとそのまま深い眠りに入れます。チェアに座って映画を見たり、読書をしたりとくつろぐ時間は最高です。非常に気に入ったので、自宅はもとより、もう一つの別荘のリビングやシアタールームに、オットマンとチェアを合計5セット購入しました」と粟田貴也さん。/エ インテリアズ| ボッフィデパドヴァ東京
「日本人デザイナーによる、時代を超える名作」── 手塚建築研究所/建築家 手塚貴晴、由比さん
ニーチェアエックス(藤栄)ご夫妻が愛用されているのは、日本人デザイナー新居 猛による「ニーチェア」。
「非常にシンプルなデザインでありながら座り心地がとてもよいです。オットマンと一緒に使うとより快適。そして、折り畳めて、片づけたいときに簡単に片づけられるのもありがたいポイント。最初に設計した鎌倉山の住宅のときに出会い、自宅でも使い続けている作品です。張り地の布を交換しやすいことも気に入っています」。/藤栄
「40年愛用する名作。人生の節目にもらった思い出の品」── イムラアートギャラリー代表 井村優三さん
フォートゥイユ グラン コンフォール プティ モデル(Cassina)現代美術を扱う「イムラアートギャラリー」ディレクターの井村優三さんは、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンが手がけたソファを愛用。
「結婚した時に妻の両親からプレゼントしてもらった、思い出深いソファです。時間が経つほど張り地の質感に味が出てきて気に入っています。気のせいかもしれませんが、自分の背中により馴染んできたような気がします」。/カッシーナ・イクスシー青山本店
「娘にいつか引き継ぎたい一脚です」── タレント 岡田美里さん
セブンチェア フルパディング(FRITZ HANSEN)「1999年にパン教室を開いたとき、デンマーク人の祖母の何かを引き継ぎたくて購入。日本人と結婚した祖母が、戦争のために母国から何も家具を持って来ることができなかったと聞いていました。では、私がデンマークの家具を手に入れて、娘にいつか引き継ぎたいと思い、ヤマギワが輸入した1980年代のヴィンテージチェアを手に入れました。以来、自宅のダイニングや別荘、娘の家など、合計16脚を愛用しています」/フリッツ・ハンセン
「軽やかで機能性が高いので、普段必要な数よりも多く揃えています」── 永山祐子建築設計/建築家 永山祐子さん
ライトウッド(マルニ木工)東急歌舞伎町タワーの外装デザインをはじめ、ショップや住宅の建築やデザインを手がける永山祐子さん。
「普段自宅で過ごす際は、家族は4人。でも、マルニ木工のライトウッドは8脚あります。ゲストを呼んだ際など、人が増えたら部屋の隅に置いてある椅子を並べて使っています。そういった意味で軽さは大切。長く座っても疲れず、見た目も軽やかなメッシュが特に気に入っています」。/マルニ木工
「“包容力”のある椅子。手がける宿やカフェでも多用しています」── 堀部安嗣建築設計事務所/建築家 堀部安嗣さん
三日月チェア(白雨/はくう)瀬戸内海のクルーズ客船「ガンツウ」をはじめ、各地の宿や住宅を設計する建築家、堀部安嗣さん。
「石川県のカフェを設計したときに、このチェアを手がけた佐竹弘章さんに出会い、それをきっかけにさまざまなシーンで愛用しています。この椅子は、深くゆったり座ることもできれば、短時間だけ座ることにも対応しています。それは、椅子が軽くて動かしやすいことと、座面の寸法や肘掛けの高さの具合に包容力があるからだと思います」。/白雨
「色彩とデザイン、機能性を備えたイタリアの家具を愛用」── タレント パンツェッタ・ジローラモさん
ニド アームチェア(Paola Lenti)家具大国、イタリア出身のタレントで、建築家としての経歴もお持ちのパンツェッタ・ジローラモさんは、イタリアメイドの家具を愛用。
「テラスに置く家具を探していて、形や色が綺麗な家具をミラノで見つけました。最も美しいアウトドア家具だと思います。パオラレンティの家具はデザインの美しさや、色合いの豊かさだけではなく、座りやすくて使いやすいのがポイントです」。/パオラ レンティ ジャパン
「一生の友のような存在」── ミナ ペルホネン デザイナー 皆川 明さん
ベアチェア(PP Møbler)アトリエの休憩用に購入したというパパベアチェア。
「包まれるような座り心地と肘掛けの木の肌触りが気に入っています。ハンス・ウェグナー自身も晩年にこの椅子を愛用していたエピソードから、私も一生の友のような存在としてこの椅子を愛用したいと思っています。この椅子を製作するPPモブラー社のオーナー家とも親しくなり、その製作風景を通してますます大切な存在になりました」。/スカンジナビアン・リビング
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