〔特集〕本物を持つことで生まれる豊かさ 「美しい家具」と暮らす 暮らしの中の美は人を幸せにする──たとえ、どんなに値が張ろうとも、いい家具にはそれを補って余りある豊かさがあります。生活の基盤となる家具は、決して間に合わせのものではなく、長く愛着をもって使うことができる“本物”をじっくりと吟味して選びたい。人生を豊かにする家具選びの極意と家具を愛する暮らしを紹介していきます。
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センスのいい人が選ぶ、私の愛着家具
「タイムレスでシンプルな、デンマーク家具を厳選」── ニコライ・バーグマンさん(フラワーアーティスト)

ハイメ・アジョンの「ルネソファ」をリビング中央に。右奥は、デニムの張り地を張った「エッグチェア」。どちらもフリッツ・ハンセン。
「デンマークでは、30年、50年でも長持ちするように家具を使うのが当たり前。幼い頃から、家族が家具を買い替えている姿は見たことがありません。安い家具を使い捨てしては新しいものを購入するのではなく、補修したり、張り地を張り替えたりして長く使っていくことが、基本です」。
そう語るのは、デンマーク出身で、フラワーアーティストとして活躍するニコライ・バーグマンさん。
左は、廃番になった一人掛けの「リッソーニソファ」。右奥は、アルネ・ヤコブセンによるチェア「ドロップ」。どちらもフリッツ・ハンセン。

デンマークを代表するキッチンメーカー、ガーデ・ヴェルスのキッチン。オークの無垢材を使った温もりある仕上がり。
ニコライ バーグマン 箱根 ガーデンズに隣接するアトリエは、デンマークのプロダクトで統一されています。それは、そぎ落とされたシンプルさと時を超えた美しさを持つ北欧デザインへの深い愛着があるから。
特に愛用するフリッツ・ハンセンの「エッグチェア」は、数量限定モデルを含め、張り地や色違いで何脚も揃えているとのこと。有機的なフォルムが美しく、包み込まれるような座り心地に浸りながら景色や暖炉を眺めてくつろぐことが多いと話します。
ケアホルムのチェア「PK22」とテーブル「PK61」。2016年に発売された数量限定モデルで、チェアの張り地はロイヤルヌバックレザー。

ニコライさんが黒くペイントした、ルイスポールセンの照明「パテラ」。ステラワークスのテーブルは、デンマークのレストラン「NOMA」が、京都に期間限定で出店した際にVIPルームで使われたものを譲り受けた。
ゲストを迎えるラウンジに揃うのは、ニコライさんが最も敬愛するデンマークの巨匠、ポール・ケアホルムの代名詞ともいえる名作家具。ステンレスを多用した、ミニマルなデザインが特徴です。チェア、テーブルともに1950年代のデザインということに驚かされます。
「シックなグレーの張り地の色合いが気に入り購入。ケアホルムの家具は、フォルムが美しく、モダンな空間にも合わせやすい。まさにタイムレスなデザインです」。
(次回へ続く。
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