私たちの脳は、常に情報や刺激にさらされ続けて過労状態かもしれません。スマートフォンを持つようになって加速し続けるこの“脳過労”を解決する方法を、脳神経外科医の奥村歩先生に伺います。※この記事は、発売中の『からだにいいこと』2025年4月号より一部抜粋・再編集しています。
教えてくれたのは…奥村 歩先生
「今、多くの人の脳が“ゴミ屋敷”です」と脳神経外科医の奥村歩先生。脳のゴミとは大きく分けて2つあり、1つは脳内にたまる老廃物、もう1つはスマホなどから得られる膨大な情報や日々のストレスです。
これらによって脳が疲れ果て、働きが低下した状態が“脳過労”。放っておくとうつ病や生活習慣病、認知症といった病気の引き金になると考えられています。
「脳過労を引き起こす老廃物『アミロイドβ』は認知症の原因物質で、40代からたまり始めます。心身ともに疲れが増してくる年代ですが、ここでしっかり脳のゴミ掃除をしておくことが大切です」
熟睡したときだけ“脳のゴミ” が減る
脳が活動すると発生するたんぱく質 「アミロイドβ」。通称“脳のゴミ”と呼ばれ、加齢とともに脳内に蓄積して認知症の原因に。熟睡中にだけ排出される特徴があるため、ゴミを洗い流すためには「ぐっすり眠る」ことが何より大切です。
脳過労が数々の病気の引き金に
ぐっすり眠らないと脳がリフレッシュされず、心身が疲れて頭の働きも低下する“脳過労”状態に。集中力の低下やさまざまな不調、認知症やうつ病、そのほかの深刻な病気にもつながります。
熟睡のカギは 「オレキシン」のONとOFFの切り替えオレキシンは目覚めと眠りに関わる脳内伝達物質。興奮作用のあるノルアドレナリンなどに指令を出して覚醒させる一方、オレキシンの働きが弱まれば人は睡眠モードに。
「ぼーっと考える」と脳過労が改善する
大量の情報に触れたり同時に複数のタスクをこなすことは脳過労につながります。処理しきれない情報によって脳にたまったゴミを排出するためには、意識的に「ぼーっとする」時間を。ぼんやりとりとめのないことを考えると、脳は息抜きできます。
●「ぼんやり」のコツ● おすすめは「自分ってどんな人?」とぼんやり考えること。 スマホなどの刺激から離れて自分という存在に目を向けることで、脳が休まります。
気をつけたい「FOMO(フォーモ)」とは?FOMOとは 「見逃したり取り残されたりすることへの不安」を表す言葉。常にSNSが気になってスマホから目が離せなくなる症状もFOMOのひとつです。FOMOは不眠を引き起こし、眠れないことで脳の疲れがたまり、脳過労が加速。スマホを見ない時間を意識的に作るなどして予防を。
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この記事は、『からだにいいこと』2025年4月号の内容を抜粋・再構成したものです。監修/奥村 歩 イラスト/徳丸ゆう