名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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古川(ふるかわ)
「古川」という名字は、文字通り「古い川」に由来しています。
今のように護岸工事がされていない時代、大雨が降ると川はしばしば氾濫し、その流れを変えました。もともとあった川の流れは取り残されて三日月湖になったり、或いは細々とした流れになって残ったりしました。こうした、古い川の流れが「古川」です。
稲作をするには用水路を引くための川が必要ですし、生活するためには飲料水を得るための水汲み場もないと困ります。
新しくできた川だけではなく、古い川も利用したことから、古い川の流域は「古川」という地名となりました。こうした場所に住んだ人が「古川」という名字を名乗ったのです。
こうした場所は全国各地にありますから、「古川」という名字も全国に広く分布しており、佐賀県の12位を筆頭に、青森県、福島県、長崎県で50位以内に入ってます。
面白いのは、青森県では「古川」の8割近くが「こがわ」と読み、同県で37位に入っている「古川」は「こがわ」なのです。
青森県以外ではほぼ「ふるかわ」と読み、「こがわ」は青森県独特の読み方といえます。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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