名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
連載一覧はこちら>>
珍しい名字:鰻(うなぎ)
「鰻」という名字があります。
かつては一般的にはほとんど知られていない珍しい名字という扱いでしたが、2016年のM-1グランプリ王者となった銀シャリで橋本直さんとコンビを組んでいる鰻 和弘さんが、その名字をネタにしたトークを広げたことから、珍しい名字として有名になりました。
「鰻」は全国に十数世帯しかない珍しい名字で、ルーツは鹿児島県です。
薩摩半島の先端に近い指宿市の山川町に鰻池という湖があります。直径1.3キロメートル、面積1.2平方キロメートルという小さな湖で、火口に水が溜まってできた火口湖です。
かつて、水田にするために池の水を抜いて堤の一部を壊したところ、水中から大鰻が現れて水口に横たわって水の流出を防いだことから「鰻池」と呼ばれるようになったといい、以後池で鰻を取ることを禁止したといいます。
そして、池の北東部にある村も「鰻村」と称し、村民は「鰻」を名字にしたと伝えています。
そのため、古くは「鰻」さんはかなりの数があったようですが、戦後は他の名字に変える人が続出し、現在ではすっかり珍しい名字となってしまいました。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)
セブンアカデミーで越智まみさんの「オンライン書道」墨アートレッスンが開催中。詳細は
こちらから>>