藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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3月の花「春のピンク」

香川県から届いたハナモモ‘さきがけ’を枝ごと生かしてバスケットにアレンジしました。バラ‘シーアネモネ’の上品なピンクが引き立つように、クリスマスローズ‘バレンタイングリーン’、ニゲラ‘ミスジーキル’、スターチス‘ミルキーウェイ’と‘シトロン’など淡い花色を集めました。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
「春めく」気持ちがまっすぐ伝わるピンクの贈り花10
ロウバイ、マンサクに続き、フクジュソウ、スイセンなど、早春の庭で咲く花には黄色が多い印象です。それが3月に入ると雛の節句に飾るハナモモに続き、ソメイヨシノや数々のヤマザクラが咲き出し、目にする景色にピンクがたくさん入ってきます。春を表現するならピンクと感じるのも、そんな景色の変化の影響があるのかもしれませんね。
雛の節句は過ぎましたが、ハナモモはまだ出回ります。ハナモモは花を観賞するために改良されたモモですが、江戸時代に多く品種が生み出されました。たとえば‘矢口’など、当時生まれた品種が現在でも利用されています。ハナモモのかわいらしい桃色は時代を超えて愛されているピンクの一つだと感じます。
「まんでがん咲きます!」がキャッチフレーズの香川県のハナモモ‘さきがけ’。讃岐の方言で「全部咲く」という意味で、フローラルフォームに挿したあとでも、蕾まできっちり咲きます。
ハナモモだけでなく、この時期には切り花でもピンクの花が種類豊富に出回ります。私の店もピンクに染まり、毎日うきうきした気分で贈り花を制作しています。
早春から続くスイートピーやラナンキュラス、チューリップなどにはピンクの品種がたくさんあり、贈り花に合わせて選ぶことができます。また、香りのよいフリージアにも上品なピンクがあり、カーネーションやリシアンサスなど定番の花も迷うほどピンクが豊富にあります。
卒業や転勤、退職など、これから送別の機会が増え、新しい門出を祝う気持ちや感謝の気持ちを伝える贈り花のオーダーをいただくことも多くなります。落ち着いた花色をお好みの方でも最後に「明るい雰囲気にしてください」とおっしゃる方が多く、そんなときにはピンクの花が大活躍。濃い、淡いに加え、甘い、クールなど、ニュアンスが異なるピンクの花が揃っているので、イメージにぴったりのピンクが必ず見つかるのも、ピンクの花のすばらしさだと思います。
春のピンクのブーケ&アレンジメント

宮崎県「JA尾鈴」のスイートピー‘たきひめ’。愛らしいピンクのグラデーションを見たら、誰の顔にも笑みが浮かびそう。春色にふさわしい華やかさもあります。

お部屋に飾る春のブーケをオーダーいただき、春のピンクを集めて束ねました。スイートピー‘たきひめ’、ラナンキュラス‘ひらひら’、カーネーション‘トミーミナミ’、バラ‘ディアリー’、アスチルベ‘ライトピンク’、スカビオサ‘クイーン’。春のピンクはこんなに種類豊富です!銀葉アカシアとユーカリを加えて、ナチュラル感を出しました。

こちらは広島県呉市で生産された染めのスイートピーの‘マーブルピンク’。スイートピーには自然色のほか、染めにも魅力的なピンクがたくさんあります。マゼンタ(明るく鮮やかな赤紫)に近い濃淡ピンクが少し大人っぽい印象です。

クリニックの開院のお祝いに、春色ピンクのアレンジをお届けしました。バラ‘ヴィクトリアンピンク’、アネモネ‘モナリザ ピンク’、ポンポンラナンキュラス‘967’に、染めのスイートピー‘マーブルピンク’をひらひらと加えました。アクセントに銀葉アカシアの花と葉を利用。