〔特集〕令和に受け継がれる文化と知恵 ブーム到来、「江戸」の底力 蔦屋重三郎など多士済々だった江戸時代中期から後期は、訪れた外国人も「日本人はよく笑う」と評するほど明るい時代でした。現代の私たちがもっと元気に楽しく過ごせるヒントは、そんな江戸の人々の暮らしにありそうです。芸術や食文化、そして生活の知恵などから、今に通じる江戸の心意気を探っていきます。
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アダチ版画研究所の技
今につながる江戸浮世絵
浮世絵を生み出した伝統木版技術を現代に受け継ぐ「アダチ版画研究所」では、これまで多くの国内外のアーティストとともに「現代の浮世絵」の制作に挑戦してきました。その一部をここでご紹介します。
現代アーティストと浮世絵
©Keiichi Tanaami
田名網(たなあみ)敬一《豊穣の庭》太鼓橋や松の木、髑髏(どくろ)などのモチーフが絡み合った緻密な一作。田名網作品の鮮烈な色彩は、伝統木版画の鮮やかな発色と好相性だ。
©GALLERY TARGET
永井 博《Time goes by ...》人気イラストレーター・永井氏の代表作。浮世絵の “ぼかし” の技術を用いて透明感のある青空を表現。
©JASPAR, Tokyo, 2025 and Chiharu Shiota
塩田千春《Connected to the Universe》“Red Waves”(左)“Red Lines”(中)“Red Circles”(右)国内外で高い評価を受ける塩田氏が、木版のために描いた連作。和紙にばれんで水性絵の具をきめ込むことで、柔らかく温かな赤の発色を叶えている。
国境を越える浮世絵
Courtesy the artist and Maki Fine Arts, Tokyo
アレックス・ダッジ《Come Walk with Me into the Night》ブルックリンと東京を拠点に活動するダッジ氏。ぼかしを取り入れ、独自の世界観を表現。
©MARTIN WHATSON
マーティン・ワトソン《Sea Turtle》ノルウェーのストリート・アーティスト。摺り上がり後、作家自身がハンドフィニッシュを加えて仕上げる。
©James Jean
ジェームス・ジーン《Chrysanthemum》メゾンとのコラボレーションやポスター制作など幅広いジャンルで活躍するジーン氏。本作はiPadで描いた下絵をもとに制作された。
©2022 Lee Ufan
李 禹煥(リ・ウファン)《Dialogue 1》「もの派」を牽引する李氏の作。淡い色調を20回前後摺り重ね、深みのあるグラデーションを生み出している。